中学生・高校生を対象とした講座「医学部で遺伝子検査を学ぼう!」を開催しました

医学部では8月4日、8日と12日に伊勢原キャンパスで、伊勢原市内に在住または通学している中学生、高校生を対象とした講座「医学部で遺伝子検査を学ぼう!」を初めて開催しました。この講座は、中学生や高校生に遺伝子についての理解を深めてもらうとともに、進路を決める一助としてもらおうと、本学が展開するTo-Collaboプログラム(※)に採択された研究「高校生の遺伝学的検査の理解を支援する実習形式教育プログラムの開発」の一環として開いたものです。当日は、基盤診療学系臨床検査学分野に所属する教員の指導を受けた医学部の学生7名がインストラクターを務め、遺伝子検査に関する講義や実習を行い、中学生4名と高校生3名が参加しました。

はじめにインストラクター・リーダーを務める学生が、医療現場における遺伝子検査の意義や遺伝子とDNAの関係、基本的な解析方法について説明。続いて生徒たちは、臨床検査学実験室でマンツーマン指導を受けながらマイクロピペットの操作方法を学び、「DNAの抽出実験」やDNAを複製・増幅してサンプルを作る「PCR実験」に取り組みました。昼食後は学生の案内で医学部付属病院を見学。各セクションのスタッフから説明を受けながら、救急科や集中治療室、中央手術室のほか、薬剤部、放射線科、検査センターなどを回りました。後半は、作製したPCRのサンプルを使って「制限酵素実験」「アガロース電気泳動実験」を行い、終了後は実験の結果について意見を交換しました。生徒たちは、「遺伝子とDNAの関係を楽譜と音符にたとえるなど、難しい内容をわかりやすく説明してくれたので、しっかりと理解することができました」「実験結果について考察したり話し合ったりする時間があってよかった」「遺伝子について興味を持つことができました」などと感想を話していました。

今回は、リーダーとなった学生が教員の指導を受けながら講義や実験に関する「事前学習教材」を作成し、生徒たちの理解を深めるために事前に送付。インストラクターを務めた学生たちは同教材や実習計画書を読んで予習したほか、伊勢原市内の小学校の教諭を講師に招いて「教える技術・伝える心」について学び、当日に臨みました。学生たちは、「自分の理解が不十分だと相手にわかるように説明することができないことを体感しました。よい勉強になりました」「医師は病気や治療について、患者さんに納得してもらえるように伝えなければなりません。生徒に教えるという今回の経験は、その意味でも大変参考になりました」などと振り返っていました。

本プロジェクトの代表を務める宮地勇人教授は、「参加者には、中学や高校の生物の授業で学んだ内容が医療現場でどのように生かされているかを実感してもらえたと思います。また指導した学生にとっては、わかりやすく伝えることの難しさや専門的な知識の必要性を認識するとともに、医師になってからの心構えについて学ぶ機会にもなったと思います」とコメント。「本講座は、開かれた大学として医学部が地域貢献を果たすとともに、持続可能な学びの拠点としての役割を担うという当初の目的を達成するための第一歩だと考えています。さらに内容を充実させて来年度以降も実施したい」と話しています。

※「To-Collabo(Tokai university Community linking laboratory=トコラボ)」プログラム
文部科学省の平成25年度「地(知)の拠点整備事業」に採択されたプロジェクト。全国にキャンパスを有する本学ならではの「全国連動型地域連携活動」を柱に、地域特有の問題や共通課題を各校舎の各部、学生、研究者が共有し協力して解決策を見いだす取り組みです。

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