大学院医学研究科が「QOL関連シンポジウム」を開催しました

大学院医学研究科では10月19日に伊勢原キャンパスで、今年度の第5回研究者教養セミナー「QOL関連シンポジウム」を開催しました。本セミナーは、医療に関する最新の研究やトピックスに関する知見を深め、各専門領域におけるさらなる臨床能力の向上や臨床医学を支える基礎研究の推進を図ることを目的に、定期的に開催しています。今回は、健康関連QOLの科学的測定に関する研究の第一人者を講師に招き、講演とパネルディスカッションを実施。教職員や大学院生ら多数が参加しました。

はじめに、司会を務めた本研究科の安藤潔教授(内科学系血液・腫瘍内科学)が本シンポジウムの趣旨を説明。続いて山田清志学長が、「人々の暮らしや社会のQOLの向上は、本学が総力を結集して取り組んでいる課題です。本日は、活発なディスカッションを期待しています」とあいさつしました。

講演では、京都大学教授で福島県立医科大学副学長の福原俊一氏が、「PROの医療への本格導入が、医療の質と臨床研究に与えるインパクト―QGEN革新的PRO尺度」と題して、患者から直接得られた健康状態に関する報告(Patient-Reported Outcome=PRO)の重要性を強調。また、健康関連QOLの定義や測定の意義、尺度の変遷について説明し、「QOLの測定は、表面に表れない疾病を可視化し、診療の情報源として有用であるほか、治療効果の評価や医療費の予測など、幅広く活用できる」と語りました。続いて、QOL測定の第一人者であるアメリカ医学アカデミー会員のジョン・E・ウェア氏(マサチューセッツ大学医学部教授、ハーバード医科大学教授)が、「革新的QOL尺度QGEN-10について」をテーマに講演。1980年代に自ら開発したQOL尺度である「SF-36」を発展させ、質問項目や回答の選択肢を改善して回答者の負担を軽減しながらより信頼性・妥当性を高めた新たな尺度「QGEN-10」の概要について解説しました。

その後、健康学部学部長補佐の堀越由紀子教授による、「QGEN innovative PRO scaleのNHR-QOLにおける活用~健康学部の立場から~」と題したショート・プレゼンテーションに続いてパネルディスカッションを実施。福原氏とウェア氏、堀越教授、本研究科の小林広幸研究科長がパネリストとして登壇し、安藤教授の司会でQOLの測定結果の活用の可能性などについて意見を交わしました。最後に、小林研究科長が講演者やパネリスト、来場者らに謝辞を述べ、「非常に興味深いシンポジウムとなりました。今後もQOLの測定や活用に関する議論を続けたい」と閉会の言葉を述べました。

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