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大会に向けてのチームの取り組みや、現地の様子をご紹介します。

10月13日 市内のパレード走行と表彰式が行われました

1週間にわたる、ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジも最終日を迎えた13日は、表彰式とそれに先立ちアデレード市内で全出走マシンによるパレード走行が行われました。パレード走行は、太陽光エネルギーという持続可能な資源を用いたソーラーカーについて多くの市民に知ってもらうとともに、レースの最後を飾る記念の催しとして、地元自治体や警察などの協力で市街地中央を閉鎖して、今回初めて行われました。

パレードはセレモニーゴール地点のハインドマーシュ・スクエア前からスタート。開始前にはずらりと並んだマシンの周りに各チーム関係者や市民らがごった返し、あちらこちらで記念撮影する姿が見られました。準優勝となった東海大学ソーラーカーチームのマシン「Tokai Challenger」は、伊藤樹さん(大学院工学研究科航空宇宙学専攻2年次)がステアリングを握り、優勝したオランダ・デルフト工科大学「Nuon Solar Team」のマシン「Nuna7」に続いて行進。市内で一番の繁華街であるキング・ウィリアム・ストリートや例年ゴールが設置されるヴィクトリア・スクエア、飲食店や市場などの来場客でにぎわうゴージャー・ストリートなどを通過し、各所で歓声を受けました。ドライビングの傍ら手を振って応えた伊藤さんは、「ほかのソーラーカーと並んで市街地を走るのは初めての経験で楽しめました。ただ、レース中ずっと後ろを追いかけてきたNuna7が目の前にいるのは感慨深かったですね」と振り返ります。

夕方には、アデレードコンベンションセンターで表彰式が開催されました。全参加チームが一堂に会し、レースの模様を収めたダイジェスト映像が放映され、技術や安全面に優れたチーム、各クラスの上位チームへの表彰に続いて、本大会のメーンクラスであるチャレンジャークラスの上位3位に入賞したチームにトロフィーと記念品が贈られました。準優勝のトロフィーを受け取ったチームマネージャーの大久保亮佑さん(工学部動力機械工学科3年次生)は、「大会を支えてくださったすべての方たちに感謝しています。この素晴らしいレースが今後も続くことを期待しています」と英語でスピーチ。壇上に上がった東海大学チームのメンバーたちに会場から惜しみない拍手が送られました。チーム監督の木村英樹教授(工学部電気電子工学科)は、「今大会は優勝したNuonをはじめ、3位にトゥエンテ大学を中心とした『Solar Team Twente』が入賞、クルーザークラスをアイントホーフェン工科大学が制するなどオランダ勢の活躍が顕著でした。オランダは日本と同様に資源の少ない国であり、再生可能エネルギー開発への強い意欲がうかがえます。本学も日本の最先端環境技術を用い、攻めの姿勢でレースを戦いましたが一歩及びませんでした。帰国後すぐにこの結果を分析し、対抗しうるマシンの開発とチーム体制の強化を図っていきます」と今後の展望を語っています。

レースの全日程を終え、学生たちはマシンや機材の輸送担当を除いて、多くが帰国の途につきます。電気班のリーダーを務める関川陽さん(大学院工学研究科電気電子システム工学専攻1年次生)は、「次回大会以降の優勝を狙い、本当の意味でトップチームになるためには、学生メンバーの技術力アップと精神面の強化が欠かせない」と今後の課題を語ります。大久保さんは、「大会開幕前、期間中と多くの企業の皆さんやチームのOB、特別アドバイザーの方たちに支えていただき、あらためて感謝の思いを強くしています。今回の反省点をチーム全員でしっかり見直し、2年後のリベンジを目指していきます」と前を見据えています。

市内のパレード走行の様子
市内のパレード走行と表彰式の様子

10月12日 ゴール会場でのマシン展示や帰国準備に取り組みました

マシン展示の様子

前日、アデレード市内のセレモニーゴールに到着した東海大学ソーラーカーチームは10月12日、ゴール会場で約3,000kmを走り切ったマシン「Tokai Challenger」を展示したほか、帰国に向けた準備に追われました。

ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジでは、途中でのリタイアも含めアデレードへとたどり着いたすべてのチームのマシンがゴール会場に展示されます。会場には各ソーラーカーチームの関係者や地元市民らが来場し、Tokai Challengerをはじめ優勝したオランダ・デルフト工科大学「Nuon Solar Team」のマシン「Nuna7」などを興味深げに見学していました。東海大学のブースでは、学生メンバーが交代で説明を担当。同じ日本から参加し本日アデレードへと到着した金沢工科大学チームのメンバーも多くが東海大学ブースを訪れました。同大学3年の坪井太郎さんは、「日本勢同士であり、前回、前々回のチャンピオン。レース期間中も注目していました」と話します。本学チームの学生に対し、「太陽光発電パネルの変換効率は?」「スポンサーとの折衝はどのようにしていますか?」など熱心に質問し、ソーラーカー談義に花を咲かせていました。ブースでマシンの紹介を担当した矢島結人さん(工学部動力機械工学科2年次生)は、「英語での説明は大変ですがやりがいもあります。ただ、専門用語などはとっさに出てこないことが多いのでもっと勉強しなくてはならないと実感しました」と話していました。

一方で、レースを終えたチームは明日の表彰式を前に、帰国の準備にも追われています。指令車や先導車などソーラーカーとともに学生たちを乗せてレースをともに戦ったサポートカーはトヨタ自動車豪州法人のご協力でレンタルしていただいたもの。マシンの運搬で活躍したトラックは日野自動車からご提供を受けました。学生たちは警光燈や無線機などの機材を外し、元の状態へと戻していきました。マシンや物資の一部は、輸送を担当するメンバーの手でメルボルンへと運ばれ、船便に託されます。大会開幕前からトラックの運転を担当している大塚隆司さん(同3年次生)は、「レース期間中はマシンの前を走り、偵察の任務にもあたりました。この先も安全第一で、無事故で頑張ります」と話しています。

マシン展示の様子
帰国準備の様子

10月11日 アデレード市街地のセレモニーゴールに到着しました

10月11日大会ゴールの様子

前日、レースの順位が確定するアデレード郊外のフィニッシュ計測点に到達していた東海大学ソーラーカーチームが、11日午前9時過ぎ(レース時間/アデレード時間午前10時)に市街地のハインドマーシュ・スクエアに設けられたセレモニーゴールへと到着しました。6日午前8時にダーウィンを出発したチームは、3,020kmの道のりを走り切り、世界最高峰のソーラーカーレースで2位となりました。大会主催者が発表した東海大学チームの総走行時間は36時間22分、平均速度は82.43km/hでした。なお、優勝したオランダ・デルフト工科大学「Nuon Solar Team」の総走行時間は33時間3分、平均速度は90.71km/hとなっています。

午前8時に計測点をスタートしたTokai Challengerは、アンカーを任された遠藤直樹さん(工学部動力機械工学科3年次生)のドライブで主催者の先導の下、アデレード市内を走行。一般車が多く難しい道のりでしたが、順調にセレモニーゴールへとたどり着きました。遠藤さんは、「最後の大役を任され何かあってはいけないと緊張しましたが、Tokai Challengerは安定した走行ができるので楽しんで走行することができました」と振り返ります。ゴールでは厳しいレースをともに乗り切ったメンバーたちが、詰めかけた市民や先着したNuonのメンバーたちから大きな祝福を受けてゲートを潜り抜けました。

同大会のセレモニーゴールは例年、アデレード市内の中心地であるヴィクトリア・スクエアに設置され、中心にある噴水に参加者が飛び込むのが慣例でしたが、現在は工事中で使用できないため、主催者がハインドマーシュ・スクエア内にビニールプールを設置。学生たちはNuonのメンバーたちから促されて次々とプールへとなだれ込み、「Tokai」コールと「Nuon」コールの応酬が続きました。続いて3位のオランダ・「Solar Team Twente」、4位のアメリカ・スタンフォード大学も続々とゴールに到着。メンバーたちは、「レース中はライバルだけど、終わればソーラーカーを愛する仲間同士」と笑顔で出迎え、ユニホームを交換して互いの健闘をたたえ合いました。

「こんなにも盛り上がるとは思いませんでした」と驚きの表情を見せたのは栗原慎太郎さん(情報理工学部コンピュータ応用工学科1年次生)。Nuonのユニホームに身を包みながら、「他チームの学生ともっとコミュニケーションできるよう、2年後は英語を覚えて来たい」と笑顔で話しました。学生たちの様子を見守ったチーム副監督の福田紘大講師(工学部航空宇宙学科)は、「勝負では残念ながら負けてしまいましたが、レースを通じて学生たちは大きな成長を見せてくれました」と話し、「期間中はさまざまな苦労がありましたが、その都度自分にまかされた仕事を的確にできるようになっていきました。ここで得た力を将来社会に出たときにも生かしてもらいたい」と期待を寄せています。

10月11日大会ゴールの様子
10月11日大会ゴールの様子

10月10日 約3,000kmを走破し2位でアデレードに到達しました

10月10日大会の様子

約3,000kmの長大なコースを太陽光の力だけで走るブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジも残すところ192kmとなった東海大学ソーラーカーチーム。大会5日目の10日は、トップを走るオランダ・デルフト工科大学「Nuon Solar Team」との約25分差を逆転すべく、午前8時のスタートから積極的な走りを見せるも、あいにくの悪天候に見舞われ実質的なゴールとなるフィニッシュ計測点に2番手で到達しました。目標としていた大会3連覇には届かずメンバーたちは悔しさをにじませましたが、一方で世界最高峰のソーラーカーレースを事故なく完走した喜びにも包まれました。

前日までに約32分差をつけられていたNuonに対抗すべく、チームでは早朝から充電作業に取り組みましたが、この日はキャンプ地上空に薄い曇が広がり満足いく充電はできませんでした。それでもスタート前のミーティングでは、チームマネージャーの大久保亮佑さん(工学部動力機械工学科3年次生)を中心に「厳しい状況でも最後まであきらめることなく戦い抜こう」と声を掛け合いました。エネルギー残量が少なく、晴天も期待できない状況を受けて、ドライバーは経験豊富な特別アドバイザーの佐川耕平さん(本学大学院修了・富士重工業)が担当。当初は都市が近づき次第に交通量が増える難しい区間ながらも75km/hから80km/hのスピードをキープして走行しました。しかし、走行開始から1時間が経過したあたりから雨が降り出し、南からの強い向かい風が行く手を阻みました。十分なエネルギーが得られなくなったTokai Challengerはスタートから1時間10分後、2,937km地点で一時的に走行を中止。少しでもエネルギーを得ようと充電を行いました。学生たちは焦りを感じながらも力を合わせてマシンを傾け、太陽光発電パネルを雲の薄い部分に向けて調整を繰り返しました。

約1時間に及ぶ充電では十分なエネルギーは確保できませんでしたが、3位を走るオランダチーム「Solar Team Twente」が後方に迫っていることもあり、走行を再開。チーム監督の木村英樹教授(工学部電気電子工学科)らが乗る指令車の指揮のもと、サポートカー数台が前方を走り、緊急時に安全に充電できるポイントを探りながら30km/hから40km/hのスピードを保って前進しました。学生たちは無線で連絡を取り合い、自分たちの役割を確認。広場やトラック向けの駐車場などの情報を指令車へと伝えました。残念ながら午前10時3分にNuonが計測点に至り2位以下が確定しましたが、メンバーたちは「優勝はなくなっても、無事に完走を果たしたい」と気持ちを一つにしてマシンを前へと進めました。

その後は雨脚が弱まったこともあり走行中の発電も再開。平均時速こそ上げられませんでしたが、停車することなく走行を続け、ダーウィン時間の午後1時22分に計測点へと到達しました。先行して待ち構えた学生たちは約3,000kmを走り切ったTokai Challengerに駆け寄り、チーム全員で完走した喜びを分かち合いました。鹿島隆寛さん(工学部機械工学科3年次生)は、「厳しいレースになりましたが、とにかく無事にゴールまでたどり着けてよかった」と安堵の表情。「最後はゴールできないかと心配しました。本当はみんなで優勝に向かって努力してきただけに悔しさもありますが、一方でサポートしていただいた企業の皆さんや先輩方のおかげでここまで来られたと感謝の気持ちも感じています」と中澤清乃さん(工学部電気電子工学科2年次生)は涙をにじませながら話しました。

「Nuonは太陽光を効率よく得られる集光器を搭載するなど、マシン開発に対する発想の違いを感じました。我々は当然優勝を狙っていただけに残念な結果となりましたが、今回の経験を生かしたい」と木村監督。また、学生たちをまとめた大久保さんも、「この3,000kmの道のりではさまざまな苦難がありましたが、一つひとつをチームの力で乗り切ってきました。みんなにはありがとうと伝えたい」とメンバーへの感謝を口にする一方で、「Nuonに負けたことはもちろん悔しいけれど、負けて得られるものも多くあります。この経験をむだにすることなく必ず次につなげます」と今後の活動に向けた決意を語りました。

レースの順位は計測点通過をもって確定しますが、この先はアデレード市街地に設けられた「セレモニーゴール」へと進みます。本来なら同日中に再スタートするところですが、Tokai Challengerのエネルギー残量では満足なスピードが得られず、閉鎖時間となる午後2時30分には間に合わないため、本日はここでレース終了となりました。この後、メンバーたちはマシンや荷物の整理をしながら後続のTwenteと4位に入ったアメリカのスタンフォード大学チームを出迎えました。明日は午前8時(ダーウィン時間・現地時間午前9時)に計測点からスタートを切ります。

10月10日大会の様子
10月10日大会の様子

10月9日 トップと約32分差も、最後まであきらめず戦いを続けています

10月9日大会の様子

ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ開幕から4日目を迎えた東海大学ソーラーカーチームは、前日の走行区間でNuonから徐々に遅れを取り始めたため、キャンプ地点となったスタートから2,086km地点で深夜遅くまでモーターの改造を実施。通電するタイミングを調整することで、スピードアップを図りました。また、午前5時35分の日の出から充電も開始し、過去2大会でも優勝を争ってきたライバルとの戦いに向け準備を整えました。

午前8時過ぎにスタートを切ったTokai Challengerのファーストドライバーは、チーム出身であり特別アドバイザーとして参加している佐川耕平さん(本学大学院修了・富士重工業)が務めました。「夜中まで学生たちとともにモーターのセッティングに取り組みました。最善を尽くしましたが、ぶっつけ本番で公道に出ることになったためまずはどの程度効果が出るのか試しながら、Nuonを追いかけました」と語ります。改造を施したモーターは期待通りの威力を発揮し、前日までの最高速度を更新。南オーストラリア州の制限速度である110km/hまで速度を上げることに成功しました。快調に飛ばしたTokai Challengerはこの日最初のコントロールポイントである第7コントロールポイント(CP)・クーパーペディまでの91kmを58分で走行しましたが、ここでNuonとの時間差は約25分となりました。

「意識して強く攻める走りをしましたが、Tokai Challengerのすぐ後ろを走る偵察車から逐次こちらのペースが伝えられており、ペースを上げるごとに細かく対応された」とチーム監督の木村英樹教授。続く第8CPのグレンダンボ着時間も約25分差。この区間でもドライバーを務めた佐川さんも、「105km/hから110km/hの速度で追い上げましたが、相手も同じペースを守ってきたためなかなか差が縮まらなかった」と振り返るように、優勝争いも大詰めを迎え、互いにけん制を繰り返しました。ここでドライバーを伊藤樹さん(大学院工学研究科航空宇宙学専攻2年次生)にスイッチし、第9CPのポートオーガスタを目指しましたが、このころから強くなり始めた東からの横風に苦戦を強いられる展開に。大きく横に振られた車体を立て直す動作が車輪に負荷を与え、左前輪がパンクしたため約8分の停車を余儀なくされました。Nuonも同時期に右前輪をパンクし、タイヤ交換を行っていましたが、ポートオーガスタへの着時間は約32分と開き、さらに同地点で右前輪へのダメージも発覚したためスタート直後にタイヤ交換の必要性が生じました。チームの懸命の努力もありおよそ3分で交換を終え、必死に前を追うもレース終了時刻の午後5時を迎え、本日はスタートから2,808km地点でストップとなりました。

レースも残り200kmを切り、3連覇を狙うチームにとって厳しい状況が続きます。しかし、明日に向けて準備を進めるメンバーたちはまだあきらめてはいません。日没までの時間で少しでも充電を進めようと、強い風の中大きな声で指示を飛ばしあい、互いに協力して作業に当たりました。「このまま終わるのは悔しい。レースは何が起きるか分からないものなので気を引き締めていきたい」と横内宏紀さん(工学部電気電子工学科2年次生)。山田萌子さん(工学部機械工学科3年次生)は、「この先は市街地が続き、追い抜きが難しくなるけれど、最後まで粘り強く頑張ります」と意気込みを語っています。

10月9日大会の様子
10月9日大会の様子

10月8日 レース後半戦に突入 2番手からの逆転を目指します

10月8日大会の様子

レース3日目を迎え、東海大学ソーラーカーチームは前日の到着地点となったダーウィンから1,347km地点を午前8時過ぎに出発。2番手の位置から前を行くオランダ・デルフト工科大学「Nuon Solar Team」を追いかけました。途中、中間点となる第5コントロールポイント(CP)のアリススプリングス、第6CPのカルゲラ、さらにそこから約20km進み、ノーザンテリトリー(北部準州)から南オーストラリア州へと入りました。雲一つない晴天となったこの日は、走行距離を736kmまで伸ばし、スタートから2,086km地点まで到達。レースの3分の2を消化し、佳境を迎えています。

坂井達哉さん(工学部動力機械工学科3年次生)がファーストドライバーを務めたTokai Challengerはトラブルなく走行を続けましたが、149km先の第5CP・アリススプリングスでは1位のNuonとの差が少し開き約13分遅れで到着しました。レースのコース上では最大の街であり、3,000kmという長大な距離の中間点に当たります。ここでドライバーを伊藤樹さん(大学院工学研究科航空宇宙学専攻2年次生)に交代。追い風を受けて100km/h前後のスピードで前を追いました。しかし、ペースを上げてきたNuonとの差はここでも開き第6CP・カルゲラでは約20分差となりました。Nuonは車載の集光器を使った充電時間を長く得るためここでの停車を4分延長、東海大学の16分前に同地点をスタートしました。

ドライバーを佐川耕平さん(本学大学院修了・富士重工業)にタッチしてカルゲラを出発した後は、約20km地点にある北部準州と南オーストラリア州の境界を通過。両チームともこれまでと同じペースを保ちながら、3位以下を大きく引き離してレース終了時間の午後5時を迎えました。2,086km地点にキャンプを張った東海大学に対し、Nuonはその約30km前方に位置しており、90km/hで走行した場合で約20分差となっています。昨年度のチームリーダーを務めた鈴木一矢さん(工学部動力機械工学科4年次生)は、「これまでの東海大学チームの勝ちパターンは序盤でトップに立つ先行逃げ切り。ミスさえしなければ勝てる展開でしたが、今回はミスなくさらに追いかける要素が必要になっており、学生の中には不安もあります。しかし、今日飛ばした分、相手のエネルギー残量が厳しいことも予想されます。最後はスタミナ勝負になると思われるので、エネルギーマネジメントをしっかりとして勝利をつかみます」と意気込んでいます。木村監督は、「追いかければ逃げるのは当然。しかし追い続けることでトップのチームをエネルギー切れに持ち込めるかどうかが勝負のかぎを握る」と話しています。

10月8日大会の様子
10月8日大会の様子

10月7日 現在2位で前を行くNuonに約6分差まで迫っています

10月7日大会の様子

ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ2日目の東海大学ソーラーカーチーム。初日の到達地点となった第2コントロールポイント(CP)・ダンマラからは3番手でのスタートでしたが、1分前に同地点を出発するはずだったオランダ・Solar Team Twenteが手間取る間に抜き去り、2番手で27分の差で前を行くオランダ・デルフト工科大学「Nuon Solar Team」を追いかける展開となりました。

本日最初のドライバーは伊藤樹さん(大学院工学研究科航空宇宙学専攻2年次生)。過去2大会でもドライバーを務めており、「あせらず前を追いかけたい」とベテランらしく落ち着いたドライビングを見せました。スタート直後には発信に手間取っていたTwenteをかわし2番手に上昇。前を行くNuonを追走。バッテリーもフルに充電できていたため快調に走り、第3CPのテナントクリークではその差を約13分まで縮めました。「前を追いかけたい気持ちが強くなるところですが、その後の展開やエネルギーマネジメントを考え、自分たちのペースを守ることを心がけました」と伊藤さんは振り返ります。

テナントクリークで遠藤直樹さん(工学部動力機械工学科3年次生)にドライバーを交代。同地点ではNuonが速度超過による10分停車のペナルティを受けたため、さらにその差が縮まりました。その先は、道路脇に竜巻が発生したほか、一時的にドライバーの無線が通じなくなるなどトラブルもありましたが、観光地として知られる「デビルズマーブル」や途中の町バロウクリークなどを順調に通過。前を行くNuonとは約6分差で第4CPのティーツリーに到着しました。その後、ドライバーを再び伊藤さんに交代。17時のレース終了時間から4分間のオーバータイムを使い、この日のキャンプ地点となるスタートから1,347km地点で停車しました。

チームは充電やマシンの整備に追われながら、前日に続いてテントの設営や料理などキャンプの準備を進めました。レース中はマシンのすぐ後ろから各メンバーに指示を出す指令車に乗り、チーム監督の木村英樹教授(工学部電気電子工学科)らのサポートを務める榊原聖也さん(工学部電気電子工学科2年次生)は、「ライバルチームも強豪ぞろいで、何がおきるかわからない緊張感を持ってレースに臨んでいます。自分たちのできる限りのことをやりきり、明日は1位を狙っていきます」と力強く話しています。

10月7日大会の様子
10月7日大会の様子

10月6日 ダーウィンを20位でスタートし、3位まで追い上げました

10月6日大会の様子

東海大学ソーラーカーチームによる大会3連覇のかかったブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジが10月6日に開幕しました。チームは前日の予選で20位と不本意な結果に終わりましたが、ダーウィンを出発して最初のコントロールポイント(CP)となるキャサリンに至るまでに4位の好位置に上昇。この日の到達地点となった第2CPのダンマラまでの道程で3番手まで追い上げました。トップのオランダ・デルフト工科大学「Nuon Solar Team」とは27分差、2位に着けるオランダの「Solar Team Twente」とはわずか1分差となっています。

この日のファーストドライバーは、過去2大会でもこの役目を務めてきた佐川耕平さん(本学大学院修了・富士重工業)。予選では後れをとりましたが、「本戦で巻き返したい」と意気込んでのスタートとなりました。交差点や一般車両が多いダーウィン市内ですが、前を走る10チームあまりを次々とパスし、一気に順位を上げました。市街地を抜けると、道路工事の影響で2度の停車を余儀なくされたほか、マシンの前を走る先導車の左後輪がパンクするなどさまざまなトラブルに見舞われました。しかし、停車中に蓄えられたエネルギーを無駄にすることなく走ろうと平均速度を上げたほか、スペアタイヤへの交換など対応に追われた先導車に代わって、すぐに近くを走っていた伴走車が代役をつとめるなどメンバー全員が冷静に対応。さらに順位を上げ、キャサリンにはトップと約25分差の4位で到着するという大躍進でした。

続いてステアリングを握ったのは工学部動力機械工学科3年次生の坂井達哉さん。坂井さんは2年前の同大会にも出場しましたが、ドライバーとしての参加は初めて。しかし、出走直前には「指令車の指示をよく聞き、安全運転で前に進みたい」と冷静に話すように、落ち着いた走行で、出発後すぐに前を行くスタンフォード大学を追い抜き、その後はバンプが多い路面に戸惑いながらも集中して走行し、前との差を徐々に詰めて2位と1分差の3位で第2CPのダンマラへとマシンを進めました。木村教授は、「最後方から追い上げるレースはこれまで経験がなく、難しい展開を予想していましたが優勝を狙うためには今日中に3番手以内に入りたかった。トップとの27分差はまだまだ大きいが取り返せないものではない。マシンのエネルギー消費のパターンもつかめてきたので、がんがんペースを上げ、トップ争いに絡んでいきます」と展望を語っています。

チームはダンマラでキャンプを張り、翌日以降の戦いへと備えました。サウジアラビアの留学生、ブカーリ・ホサムさん(情報通信学部経営システム工学科2年次生)は、「初めてのソーラーカーレース参加で緊張感もありますが、楽しんでいきたい。Nuonやミシガン大学などライバルのトップチームとはマシンのデータ上でのパフォーマンスは変わりませんが、私たちのチームが一番だと証明したい」と今後への期待を語ります。また同じく初参加の栗原慎太郎さん(情報理工学部コンピュータ応用工学科1年次生)は、「レースも本番が始まり、やっとここまできたかという感慨もあります。木村監督や先輩たちのレース運用を間近に見て学びたい」と抱負を語っています。

10月6日大会の様子
10月6日大会の様子

10月5日 予選20位もレースでの巻き返しに向けて意気込みを新たにしています

公式予選の様子

いよいよブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ開幕が翌日に迫った5日、ダーウィン市内のヒドゥンバレーサーキットで公式予選が開かれました。2.87キロのコースを1周してタイムを競います。レースは予選タイム順に1分ごとに間隔をあけてスタートを切ることになります。ソーラーカーチームは出場するチャレンジクラス25台中、2分46秒71で20位となりました。

東海大学の「Tokai Challenger」は、前日までに予選に向けた準備を終え当日午前7時に会場入り。出番を待つ間、ピットには他チームの選手らが訪れメンバーたちにマシンについて多くの質問が投げかけられました。熱心に見学していたオランダ・デルフト工科大学「Nuon Solar Team」のアラード・ランバーズさんは、「東海大学とは過去2大会、優勝を争ってきており、お互いにレベルを上げ合うとてもいいライバル関係を築けています。明日から開幕ですが、自分たちも頑張ります」と話していました。

予選のタイムアタックでは、ステアリングを握る佐川耕平さん(本学大学院修了・富士重工業)が果敢なドライビングを見せましたが、出走順が終盤となった影響でコース上に多く入ってしまっていた砂にタイヤを取られ、最終コーナーでスピンし停車しました。佐川さんは冷静にマシンを立て直しましたが、トップのオーストラリア・クイーンズランド工科大学の「Team Arrow」から約46秒遅れてのゴールとなりました。佐川さんは、「途中までいいタイムを出せていただけに残念ですが、本戦で取り返します」と力を込めました。学生メンバーたちも坂井達哉さん(工学部動力機械工学科3年次生)が、「Tokai Challengerは公道を走るためのマシン。ダーウィンを出発してからが勝負です。これまで培ってきた経験を生かせば、ここからの上位も狙えます」と話すように、不本意な結果でも前を向き、レースへの意気込みを新たにしています。チーム監督の木村英樹教授(工学部電気電子工学科)は、「幸い車体は無傷でした。マシンの設計をはじめ空力やモーター、チームのサポート体制などどこにも負けていません。レースの本番では焦ることなく、3000キロの中で追い上げていきたい」と明日以降の戦いを見据えています。

また、午後には本学とソーラーカーの共同開発に向けた覚書を交わしているUAEの石油資源大学(The Petroleum Institute)」のタマー・シャヒム教授と学生3名がチームに合流しました。同大学はアブダビ石油公社の人材育成部門となっており、日本を含む世界中の石油会社が出資して運営されており、本学とはエネルギー開発を中心とした工学分野での共同研究、教員の相互派遣などを促進していく計画を進めています。シャヒム教授らは今大会の期間中チームに同行し、レースマネジメントやチーム運営のノウハウについて学ぶ予定であり、「学生たちがゼロから学び、それぞれの役割について学んでいく、ソーラーカーを通したものつくりと人材育成に感銘を受けました。私たちの大学でもチームの結成を目指しています。そのための第一歩になれば」と期待を語っています。

チームは明日6日の午前8時30分(日本時間午前8時)に向けた準備の大詰めを迎えています。午後には全チームのチームマネージャーやドライバーらが一堂に会して、大会に関する諸注意などを受けるレースブリーフィングに出席。また、トヨタ・ダーウィンブランチではコントロールポイントでの停車時を想定した充電の練習などに取り組みました。夕食後には、ダーウィンでは最後となるミーティングを実施。スタート前後の動きの確認やサポートカーの配置、初日の戦略などについて話し合うとともに、荷物の整理などにあたり3000キロに及ぶ長丁場のレースに備えました。

公式予選の様子
公式予選の様子

10月4日 レースに向けた準備を進めています

レースに向けた準備の様子

4日午前中のチームは、速度やパネルの発電量、バッテリーの電圧などを指令車に送信するテレメトリーシステムの調整をはじめ、マシンの前後を走るサポートカーやレース期間中のキャンプに向けた準備に取り組みました。ボーイスカウト経験者という和田拓馬さん(工学部動力機械工学科1年次生)は、「メカニックとしてサポートカーの整備も担当していますが、食事作りやキャンプでのテント設営などの仕事も任されているので役割を果たしたい」と意気込んでいます。サウジアラビアからの留学生、アルカティブ・アブドゥラハマンさん(大学院工学研究科工業化学専攻1年次生)は、「アラビア語、英語、日本語を話せるので通訳やメディア対応を担当しています。料理も得意なのでバックアップ面でも貢献したい」と意欲的に語りました。

また、午後からは予選会場となるヒドゥンバレーサーキットに移動。大会主催者によるメディア向け撮影会に参加しました。ピットレーンに出場全チームのマシンが並ぶ中、前回大会優勝の東海大学チームは大きな注目を集め、他チーム関係者から質問が相次ぎました。今回が国際大会初参加となる森川聡さん(工学部材料科学科2年次生)は、「ソーラーカーがずらりと並ぶ姿は壮観でした。海外チームは色鮮やかなマシンも多く、デザイン面でも刺激を受けました」と目を輝かせていました。

レース開幕に向けて準備を進めるかたわら、チームでは各国からの視察を受け入れています。3日夜には、ハンガリー・ケチケメート大学チームが訪問。同大学はヨーロッパ各地で毎年開催されている、1リットルのガソリンでの走行距離を競うエコカーレース「エコマラソン」に出場しており、今年のレースで優勝。次回のワールド・ソーラー・チャレンジへの出場を視野に、ソーラーカーの開発も計画しています。今回の視察もその一環で、整備中の「Tokai Challenger」を見学したほか、マシンの素材や使用している太陽光発電パネル、タイヤ、モーターなど各部品について木村英樹監督(工学部電気電子工学科教授)や学生らに熱心に質問しました。また、4日夕方にはWSC出場を目指す名古屋工業大学ソーラーカー部もトヨタ・ダーウィンブランチを来訪。同部の中村彰伸さんらは、マシン本体をはじめ、チームマネジメントや学内外の協力体制について学生メンバーと意見を交換し、「自分たちも将来WSCの舞台に立ちたいと活動しています。コックピットの配線やスペースの活用など非常に参考になりました」と話していました。

チームマネージャーの大久保亮佑さん(工学部動力機械工学科3年次生)は、「車検会場やサーキットのピットなどでも、他の海外チームから多くの質問を受けますが、英語力が低くてもマシンの部品などは世界共通なので会話が弾みます。見学を受けることは交流を深めるきっかけにもなるので僕たち学生にとっても大歓迎です」と話しています。

レースに向けた準備の様子
レースに向けた準備の様子

10月3日 予選に向けたテスト走行に臨みました

テスト走行の様子

公式車検を無事通過しレース出走が確定したソーラーカーチームは10月3日、予選の会場となるヒドゥンバレーサーキットでテスト走行に臨みました。マシンの完成度向上をはじめ、ドライバーのコース習熟などを目的としたものです。

メンバーは早朝からマシンを整備した後、サーキットに移動してテストを開始しました。30分ずつ2回にわたって周回を重ね、タイヤの可動域の調整やコースのライン取りなどの確認を繰り返し、予選での上位獲得に備えました。予選のドライブを担当する佐川耕平さん(本学大学院修了・富士重工業)は、「今回のテストは予選ではどこまで攻めの走りができるか探ることが目的でした。本番ではもう少しスピードが出せると思います」と手ごたえを語っています。チーム監督の木村英樹教授は、「Tokai Challengerは長い距離を走るラリー用に設計されているので、サーキット走行には向かない部分もあります。しかし、本戦のスタート順で有利な位置を占めるためには予選の結果も重要。10位以内を狙っていきます」と話します。マシンの整備を担当する機械班のリーダー・遠藤直樹さん(工学部動力機械工学科3年次生)は、「現場ではあわただしくなってしまい、作業にまとまりを欠いてしまいました。あせらず状況確認を徹底しなくてはならない。レースでは一つのミスで負けてしまうこともあるので、気を引き締めたい」と意気込みを語りました。

テスト走行終了後には、ダーウィン市内にある「クロコダイルパーク」に移動。ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジのプロモーションの一環で、写真撮影に協力しました。大会主催者からの要請を受けたもので、ドライバーも務める遠藤さんがコックピットに座り、クロコダイルの子どもと共演しました。開幕を前に地元の新聞「ノーザンテリトリーニュース紙」にチームの紹介記事が掲載される予定です。

テスト走行の様子
テスト走行の様子

10月2日 公式車検を通過、大会主催者から高評価を得ました

公式車検の様子

世界最高峰のソーラーカーレース「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」で3連覇を目指すソーラーカーチームは、10月6日(日)の開幕を前に着々と準備を進めています。9月中盤から、マシンの輸送とコースを逆走して下見を担う輸送部隊が現地入り。27日に本隊がダーウィンに到着し、マシンの組み立てや配線の再チェック、発電テストなど整備に取り組んできました。

2日午前中には、公式車検に臨みました。マシンの安全性や規格が大会の定めるレギュレーションに合致しているかといった項目がチェックされ、レースへの参加を左右する重要な検査です。チームは午前8時に会場のフォスキー・パビリオンにマシンを搬入。会場では、マシンサイズやコックピットの大きさの測定や、バッテリー回路などについてチェックを受けたほか、ドライバー登録者の体重測定や緊急時の脱出時間の確認などが行われました。東海大はすべての項目で基準値を満たしており、問題なく通過。無事にレースへの出走が決まりました。チーム監督の木村英樹教授(工学部電気電子工学科)は、「今大会からタイヤ数がこれまでの3輪から4輪が義務付けられたほか、マシン全長の短縮化、コックピットの大型化など大きくレギュレーションが変わりました。チームではこれまでの経験を生かし、開発段階からルールを順守して設計してきました」と話します。検査の担当者ら大会運営委員からは、「チェック項目すべてで基準を満たしており、レギュレーションをよく読んで厳密にクリアできている」との高い評価を得ました。チームマネージャーの大久保亮佑さん(工学部動力機械工学科3年次)は、「車検は本番に向けた大きな山の一つであり、通過できてほっとしています。チーム全員が短い時間で集中して作業してきた成果だと思います」と安堵の表情で語りました。

また、レース本番中にマシンの前後を走る先導車と指令車のチェックも実施され、警光燈や無線機をはじめ緊急時に使用する消火器など安全面についても確認され、こちらもパスしました。セーフティーオフィサーの若林希さん(工学部機械工学科2年次)は、「安全面の基準をしっかりと満たせるよう準備してきました。検査時には担当者と英語でのやり取りもあり緊張しましたが、事前に勉強してきたことでなんとかクリアできました」と笑顔を見せました。

車検後には、拠点として使用しているトヨタ自動車豪州法人のトヨタ・ダーウィンブランチでマシンの整備やサポートカーの準備に取り組みました。大久保さんは、「電気系の作業や計測システムの整備など、細部にわたってやるべきことはまだたくさんあります。ダーウィンでの作業も5日目を迎えメンバーには疲れも見えてきましたが、体調を整えて頑張りたい」と意欲を見せています。

公式車検の様子
公式車検の様子
公式車検の様子

テレビ番組の取材を受けました

テレビ番組の取材の様子

ライトパワープロジェクトが9月5日、東海大学湘南キャンパスにてテレビ番組の取材を受けました。今回の取材は東海大学ソーラーカーチームの認知度を高め大会前のチームの様子を知ってもらう目的をもっており、NHK総合(関東地域のみ)にて9月25日11:05~11:54の「ひるまえ ほっと」で放映予定です。

当日はものつくり館2階にて作業の説明を行いながら撮影とインタビューを受け、車体を中央通りに移動し、坂井達哉さん(工学部動力機械工学科3年次生)と遠藤直樹さん(同)がドライバーとなって中央通りの噴水から時計台までデモ走行を行いました。その後、車体を武道館(水天宮門)前へ移動させ集合写真を撮りました。

チームマネージャーの大久保亮佑さん(同)は「取材では“WSC”についての意気込みやレースにかける思いを聞かれ、今回のレースへの期待がとても大きいと感じました。また、ソーラーカープロジェクトに入ろうと思ったきっかけや知識の付け方などを質問されました。説明にはどうしても専門用語を多用してしまうので、今後は受け手に理解されるようにしたいと思っております」と話し、坂井さんは「取材ではソーラーカーの魅力や運転して感じることなど、日頃自分が体験していることを話させていただきました。取材はいつも慣れませんが、今回は今までで一番緊張しました。この放映を見て、日本中の方々が少しでもソーラーカーに興味を持っていただけたらと心から願っています」と語っています。

テレビ番組の取材の様子
テレビ番組の取材の様子

車体をオーストラリア・メルボルンへ空輸しました

車体輸送の様子

ワールド・ソーラー・チャレンジ(WSC)に向け9月6日、車体をオーストラリア・メルボルンへ空輸しました。新型車という事もあり、いつも以上に慎重に車体の輸送が行われ、内部についても部品が振動で車体を傷つけないように細心の注意を払って梱包を行いました。また、神奈川県横浜市の大黒ふ頭までメンバーが同行し、最後まで確認作業を行いました。

リーダーの鹿島隆寛さん(工学部機械工学科3年次生)は「車体以外の荷物については、早いうちから準備を行っていたのでスムーズに積み込みを行う事が出来ました。最後まで車体を梱包する人と、荷物を積む人に別れて作業をすることができたので、短い時間で積み込みを行えました。多くのメンバーの協力のおかげで予定通りソーラーカーを送り出せました」と語っています。

車体輸送の様子
車体輸送の様子

“2013年型 Tokai Challenger”のテスト走行を行いました

2013年型Tokai Challengerのテスト走行の様子

8月24日と25日にライトパワープロジェクト・ソーラーカーチームの学生19名とOB6名が木村英樹教授(工学部電気電子工学科)、福田紘大アドバイザー(工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻)、佐藤多嘉雄コーディネーター(チャレンジセンター推進室)立ち会いの下、秋田県南秋田郡大潟村のソーラースポーツラインにて新型ソーラーカー“2013年型 Tokai Challenger”のテスト走行を行いました。

今回の試走は、車体が高速走行をした場合の確認と、遠征時の練習を中心に行いました。車体を製作したばかりのため、いきなりの高速走行は避けて低速で車体の挙動とドライバーの感覚を確認することから開始しました。走行は低速時、高速時ともに“2011年型 Tokai Challenger”のような安定性があり、車体性能に大きな問題はありませんでした。また今大会において、大会レギュレーションが大幅に変更になり、今まで中央にあったコックピットが左側になったことで運転の感覚が変わりましたが、支障はありませんでした。しかし、今後検討しなければならない問題が発生しました。キャノピーが全て透明となったため、車内温度が上がりやすく、カーボンを使用していることで熱がこもりやすくなり、とても暑くドライバーに大きな負荷がかかるようになってしまいました。改善のために内部を白などの反射色にすると熱がこもらない反面、透明なキャノピーにも反射してしまうため、前方の視界を確保できなくなってしまいます。そこで、ドライバーは偏光サングラスを着用するなどして対処することとなりました。

25日の発電テストでは、太陽電池とバッテリーの間にあるMPPT(最大電力点追従装置)が正常に動作せず、発電ができませんでした。走行時間を確保するためその場での原因解明はせず、バッテリー走行を行いました。この問題については大学へ帰校後、原因の追及と解決に向けてテストなどを行い、無事に発電が可能になりました。

チームマネージャーの大久保亮佑さん(工学部動力機械工学科3年次生)は、「今回のテスト走行では、出発寸前まで作業を行っていたため、不備や遠征先でのスケジュールの周知が行き届いていないところがありました。今後は事前に準備を完了させた上で、情報が正しく全員に伝わるように徹底していきたいと思います。テスト走行自体は、スムーズにそれぞれのドライバーが低速走行をした後、高速走行を行って、“2013年型 Tokai Challenger”の走行状態を確認していきました。今までの車体とドライバーの乗る位置が違うため目線が変わってしまいますが、問題なく運転できていたようです。今回の試走で出てきた問題点を改善し、今後車体をより完成に近づけていきたいと思います」と語っています。

2013年型Tokai Challengerのテスト走行の様子
2013年型Tokai Challengerのテスト走行の様子
2013年型Tokai Challengerのテスト走行の様子

ソーラーカーチームが「ワールド・ソーラー・チャレンジ」参戦発表会を開催

「ワールド・ソーラー・チャレンジ」参戦発表会の様子

東海大学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクトのソーラーカーチームが、今年10月6日(日)から13日(日)にかけて、オーストラリア連邦のダーウィンとアデレード間で開催される世界最大級のソーラーカーレース「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ2013」に参戦します。8月27日に、湘南キャンパスで参戦車両および参戦体制発表会を開催しました。同チームは2009年と11年に開催された同レースで優勝しており、大会3連覇を目指します。また、08年、10年、12年に南アフリカで開催された「ソーラー・チャレンジ・サウス・アフリカ」でも3連覇を果たしており、 国際大会6連覇も狙います。

今大会においては大会レギュレーションが大幅に変更。これまでの「3輪以上」のタイヤ数が4輪へと義務化されたほか、マシンの全長が5mから4.5mに制限、ドライバーの視界を確保するためコックピットの大型化が課されました。チームではこれに対応すべく、パナソニック株式会社様および東レ株式会社様をはじめ、多数の企業のご協力のもと、プロジェクト参加学生が新たに2013年型ソーラーカー「Tokai Challenger」を製作。太陽電池は世界最高水準の発電効率を誇り、住宅用にも使用されているパナソニック製の「HIT太陽電池」(シリコン系)をレース用に変更して搭載しています。また、リチウムイオン電池も同社製で、ノートパソコンなどにも使われている「NCR18650B」を432本使用。マシンのボディには東レ製の炭素繊維「トレカ」をパーツごとに3種類用いることで軽量化を図り、製作には東レカーボンマジック社の協力を得ました。

発表会には、新聞・雑誌やテレビなど多数の報道関係者が出席。本学の山田清志副学長(教育担当)、パナソニック株式会社エコソリューションズ社エナジーシステム事業部ソーラービジネスユニット長の吉田和弘氏、東レ株式会社常任理事で自動車材料戦略推進室長の胡谷一路氏、本学チャレンジセンターの梶井龍太郎所長、チーム監督を務める木村英樹教授(工学部電気電子工学科)、学生代表の大久保亮佑さん(工学部3年次生)が登壇したほか、今回の遠征に参加する学生メンバー21名や教職員らも列席しました。山田副学長はあいさつで「多くの企業の皆さまからご協力をいただき2013年型Tokai Challengerを完成させることができました」と感謝を述べ、「本学のソーラーカーチームは2008年以来、世界一を続けていますが、勝敗よりもその歴史の中で積み重ねてきた成果こそ価値のあるもの。今後も幅を広げながら活動を展開していきたい」と話しました。また、吉田氏と胡谷氏がそれぞれ、太陽電池パネルや炭素繊維の特徴を紹介。木村教授と大久保さんがチーム体制やマシンの詳細を説明しました。その後に行われた試走では、湘南キャンパス内を「Tokai Challenger」が疾走しました。

同レースに向けてチームでは、8月24、25日に、秋田県大潟村ソーラースポーツラインでテスト走行も実施するなど着々と準備を進めてきました。今後は、9月上旬にマシンを空輸。下旬からメンバーがスタート地点のダーウィンに入り、本番へと備えます。大久保さんは大会3連覇に向けて、「現在は試走で明らかになったマシンの問題点の修正に全力で取り組んでいます。国際大会で結果を残してきたことには、大きなプレッシャーもありますが、チームの雰囲気は良好。さらに結束を固め本大会で日本勢としては初となる3連覇を果たします」と力強く意気込みを語っています。

【チャレンジセンターURL】
https://www.u-tokai.ac.jp/challenge/index.html

「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(Bridgestone World Solar Challenge)」について
「ワールド・ソーラー・チャレンジ」は、太陽光のみを動力源として、オーストラリア連邦のダーウィンとアデレード間の総延長3,000kmを走破するタイムを競う世界最高峰のソーラーカーレースで、1987年に第1回大会が開催されて以来、26年の歴史を有しています(1999年からは隔年開催に変更)。2013年はブリヂストンが大会の冠スポンサーとなりました。

2011年の前回大会では、オランダのデルフト工科大学、アメリカのミシガン大学やスタンフォード大学をはじめとする20の国と地域から37チームが各国の企業の支援を受けて開発したソーラーカーで出場する中、本学が09年に続いて総合優勝と2連覇を達成しました。

【開催日程】
2013年10月6日(日)~13日(日)

【会場】
オーストラリア連邦 ダーウィン~アデレード(3,000km)

【主催】
South Australian Motor Sport Board

【公式サイト】
http://www.worldsolarchallenge.org/

【大会スケジュール】
10月5日(土)公式予選
10月6日(日)ダーウィンをスタート
10月13日(日)レース終了・アデレードにて表彰式

「ワールド・ソーラー・チャレンジ」参戦発表会の様子