文理融合学部地域社会学科の前田芳男教授(学部長)と人間情報工学科の村上祐治教授、研究室の学生らで結成したグループ「ねこだんご」が、9月22日に熊本キャンパスで「猫の島サミットプレ大会」を開催しました。熊本県上天草市の湯島は「猫の島」として観光客が増えた一方、猫の健康や住民の暮らしへの影響が懸念されることから、学生たちは公益財団法人日本離島センターの助成も受けて猫のQOL向上を目指して活動してきました。今回はその活動の一環で11月2日(土)に熊本キャンパスで開催する「猫の島サミット」に向けて、保護猫活動などに取り組む団体・個人と情報交換しようと企画したものです。
オンラインでの参加者も交えて実施した当日は、初めに前田教授がこれまでの活動やサミットの趣旨を語り、村上教授が研究室の学生と制作した湯島の猫を紹介するホームページについて説明。今年度は20匹の顔認証システムの開発に取り組んでおり、「スマホのカメラで撮影するとその猫の紹介ページが表示されるシステムを構築中です。学生たちが地域に出て、情報技術を活用する実践的な取り組みになっています」と語りました。その後は、猫の島として知られる天草市通詞島で地域猫の世話をしながら「島にゃんキッチン」を運営する古閑士津子さんが活動を紹介し、福岡県・相島でボランティア活動をするNPO「SCAT」のメンバーや、湯島の猫を世話する林愛子さんも加わって住民や観光客への理解促進と地域猫の糞尿の臭いなどといった苦情への対策について意見を交わしました。また、鹿児島県立大島病院の大木浩医師は猫の病気の事例を解説するとともに、離島医療が抱える問題も報告。熊本保健科学大学の竹熊千晶教授は、自身の住む熊本市西区で住民とペットの情報を共有して動物と人間が共に暮らしやすい地域を目指す活動を、石橋秀行さん(鳥獣保護管理捕獲コーディネーター、農作物野生鳥獣被害対策アドバイザー)は動物愛護法や薬物取り扱いの観点から行政や大学と協力した取り組みを紹介しました。
ねこだんごの学生4人のほか、教員2人、離島研究に携わる日本島嶼学会員などの参加もあり、ネットワークが広がりつつあります。前田教授は、「猫島ブームの今、観光客との関係やブームが去った後の課題についても考えなければなりません。独自の取り組みや共通する課題を共有し、ここで新たな結びつきが生まれてそれぞれの活動がよりよくなっていくことを期待しています」と話しました。11月2日の「第1回猫の島サミット」では意見交換を図るとともに、学生が制作した猫グッズの販売なども行う予定です。