医学部医学科の佐藤教授が「AMED再生・細胞医療・遺伝子治療公開シンポジウム」で講演しました

医学部医学科の佐藤正人教授(外科学系整形外科学)が、9月29日にオンラインで開催された「令和4年度AMED再生・細胞医療・遺伝子治療公開シンポジウム~再生・細胞医療・遺伝子治療の未来~」(主催:国立研究開発法人日本医療研究開発機構=AMED)で講演しました。当日は、山中伸弥氏(京都大学iPS細胞研究所名誉所長・教授/公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団理事長)をはじめ、世界トップクラスの研究者が登壇。佐藤教授は、「再生医療による膝疾患治療の現状と今後―細胞シート移植で取組む膝疾患治療」をテーマに、変形性膝関節症で膝の軟骨が欠損した患者に軟骨細胞を培養して作製した細胞シートを移植して修復再生させる治療法を紹介しました。

変形性膝関節症は、加齢やO脚などにより膝関節の軟骨がすり減って炎症や変形が生じることで強い痛みが現れる難治性の疾患で、進行すると歩行が困難になるなどADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)の著しい低下を招きます。国内で変形性膝関節症による膝の痛みを抱えている人は約800万人いるといわれ、高齢化に伴う患者数の増加が懸念されています。 佐藤教授は、細胞シートを開発した経緯やシートの移植により軟骨が再生されるメカニズムについて解説。厚生労働省から治療の効果や安全性が認められた「先進医療B」として、「高位脛骨骨切り術」と併せて医学部付属病院で実施している「自己細胞シート」(患者自身の軟骨細胞を培養して作製したシート)を用いた移植治療の方法と実績を紹介しました。さらに、多指症手術時の廃棄組織から採取した細胞を培養する「同種細胞シート」(他者の軟骨細胞を培養して作製したシート)を使用した場合のメリットや臨床研究の進展状況、良好な治療成績についても説明。最後に、「2004年に細胞シートの基礎研究を始めて先進医療として承認されるまで15年間かかりました。この間AMEDや厚生労働省科学研究費の採択をはじめ、東海大学の同僚や学内外の研究者ら、たくさんの方々の支援と協力をいただきました。より多くの患者さんを救えるよう、今後も軟骨再生医療の研究開発を続けていきます」と述べました。