医学科の中川准教授が制作に携わった「8Kデータビジュアライゼーション[新型コロナウイルスの進化地図]」がグッドデザイン賞を受賞しました

医学部医学科基礎医学系分子生命科学の中川草准教授(総合医学研究所/マイクロ・ナノ研究開発センター)が制作に携わった日本放送協会の「8Kデータビジュアライゼーション[新型コロナウイルスの進化地図]」が、2022年度「グッドデザイン賞」を受賞しました。この作品は、新型コロナウイルスの変異株がいつ、どこで発生し、どのように拡大していったかをリアルタイムに追跡できる高精細なCGアニメーションです。世界各地で解読・公開された同ウイルスの膨大な遺伝情報データベースを利用し、最新の医学・生命科学の研究で明らかになった変異株の特徴や来歴を一般の人にもわかりやすいように可視化したもので、報道番組などで活用されました。

ゲノム科学が専門の中川准教授は新型コロナウイルスの変異株の研究にも取り組んでおり、NHK「サイエンスZERO」などの番組に協力したことを機に本作品の制作に参画。デザイナーを務めた慶應義塾大学大学院の山辺真幸さん(政策・メディア研究科博士課程)らチームのメンバーに、注目すべき変異株や変異ウイルスの拡大を国別に表現する手法、それによって明らかになる事項などについて科学的な視点からアドバイスしました。何度も試作を重ねて完成した作品は「クローズアップ現代+」などで放送されたほか、東京・渋谷で開催されたNHKの企画展「共鳴するメディア 8Kビジュアライゼーションの可能性」でも展示。審査委員からは、「新型コロナウイルスの世界的拡大を、数字の羅列やグラフではなく、時間と空間の紡ぐ『流れ』として表現することに成功しており、こうした斬新な視覚化は、人類に新たな俯瞰的視点をもたらすだけでなく、未知なる問題への気づきや、より効果的な予防のための重要なヒントをもたらすだろう」と評価されています。

中川准教授は作品について、「新型コロナウイルスのゲノムデータは、2019年12月から現在までに、1300万を超える配列が世界各地で公開されています。その膨大なデータを一般の人が見て理解するのは極めて難しいと思いましたが、今回制作したビジュアライゼーションにより、あらゆる場所で変異が生じていることや、特徴的な変異株が急速に世界中に広がることなどを、一目でわかってもらえると思います」とコメント。「このような作品ができたのは、デザイナーの山辺さんを始めとする関係者はもちろん、ウイルスのサンプリングやシークエンスを行い、それを登録、公開してくれた研究者ら、多くの人々のご尽力のおかげです。皆さまに感謝いたします」と話しています。

なお、中川准教授は、本作品に関するプロジェクト「新型コロナウイルスゲノム系統樹3次元可視化」で、一般社団法人可視化情報学会が主催する第49回可視化情報シンポジウム・アートコンテスト「大賞」、第33期可視化情報学会賞「技術賞」も受賞しています。