東海大学チャレンジセンター・阿蘇は箱舟プロジェクトが6月9日に熊本県阿蘇郡にて市民ボランティア団体「水源の森林ボランティアネットワーク」と協力し、「オオルリシジミ(※)の生息環境の保全と地域との連携強化」を目的として、クララ(※)や希少な植物を避けた除草活動を実施しました。
生息環境の状況として、阿蘇の草原では外来種のセイタカアワダチソウが繁殖してしまいオオルリシジミが草食するクララを見つけることが非常に困難な現状となっています。このような草原でも牛を放牧できれば,毒素のあるクララを避けて牛が牧草を食べ、除草を行うことができますが、近年の阿蘇の放牧農家事情は厳しく、離農者が増え、春の野焼きも実施できない地域が増えています。加えて、2016年の熊本地震により阿蘇の草原で土砂崩れが起き、その影響により生息場所が土砂で流されています。このような現状から人為的にクララのみが残っている草原を再現するため、新入生を含めた31名のプロジェクトメンバーが今回農機具と人力で作業を行いました。途中、雨の中の作業になりましたが、合計3ヘクタールの除草を完了しました。
プロジェクトメンバーの古賀存さん(農学研究科農学専攻1年次生)は「長時間の作業で体力的に辛かったですが、終わってみれば非常に達成感がありました。自分たちが除草した草原で来年またオオルリシジミを見ることが楽しみです。」と語りました。
※オオルリシジミ・・・チョウ目シジミチョウ科に属する蝶の一種。環境庁レッドデータブックの絶滅危惧IA類、熊本県の特定希少野生動物に指定され、阿蘇郡南阿蘇村では「村蝶」として保護活動が進められている。
※クララ・・・マメ科クララ属。多年草「クララ」は、根がくらっとするほど苦いことから「クララ」と呼ばれる。オオルリシジミが花穂や新芽に卵を1つずつ産みつけ、幼虫が食草する。