高輪校舎で公益財団法人国際研修交流協会が主催する「第34回国際セミナー」が開催されました

高輪校舎で11月7日に、公益財団法人国際研修交流協会の主催による「第34回国際セミナー」(共催:東海大学)が開かれました。本セミナーは、日本国内やアメリカ、中国、東南アジア諸国の次代を担う各界のリーダー層を対象に、国内外から招いた各界指導者や学識経験者らの講演を踏まえつつ、アジア・太平洋地域の国際協力・相互交流の将来展望について議論を深める機会として1987年から開催されています。新型コロナ禍の影響で3年ぶりの開催となった今回は、「新時代に向けた環境、エネルギー、ICTの取組みと国際貢献について」をテーマに実施。本学の山田清志学長が同協会の理事を務めていることに加え、高輪校舎には今回のテーマに関連した情報通信技術を横断的に学ぶ情報通信学部を有するため本校舎が会場となりました。当日は、産学官の有識者や関係者、情報通信学部の学生らも参加しました。

当日は、田中愛治理事長による開催宣言に続いて、来賓代表として衆議院議員の山本有二氏とセイコウ・イシカワ駐日ベネズエラ大使があいさつしました。講演では、前半に資源エネルギー庁次長の小澤典明氏と、Innovation for Cool Earth Forum(ICEF)運営委員長を務める田中伸男氏、後半には、早稲田大学理工学術院教授の戸川望氏が、世界のエネルギー情勢や課題点、ICT技術の社会実装などについて報告しました。

本学からは、情報通信学部の三角育生学部長が、「デジタル化時代におけるサイバーパワー」と題して講演しました。三角学部長は、サイバー空間の安全・安心を確保するための国家戦略「サイバーセキュリティ戦略」の概要を説明するとともに、コロナ禍以降に企業でのテレワーク導入が増加したデータを示して急速に進んだ日本のデジタル化の現状を紹介し、「リモート化やオンライン診療など便利な仕組みが生まれましたが、インターネットで情報を取り扱うため、サイバーセキュリティ対策が非常に重要になる」と指摘しました。続いて、セキュリティ対策をプロセスに組み込む「DevSecOps」や政府情報システムのセキュリティリスクを最小限にする「ゼロトラスト・アーキテクチャ」などについて解説。「ランサムウェア」の仕組みや被害も説明しました。さらに、DX化推進に向けた動きとして、「Web3.0」を紹介するとともに、2016年のアメリカ大統領選におけるロシア介入問題など、サイバー空間を利用した犯罪や情報操作について語り、「サイバーセキュリティですべてをカバーするのは難しく、何が現実で何が嘘なのか区別がつかなくなる危険性が出てきています。民主主義を破壊する仕組みがある中で、日本もサイバーパワーを重要視し、関係者が総合的に議論・協力し合うことでデジタル時代に貢献してかなくてはならい」と呼びかけました。

講演後には質疑応答の時間も設けられ、登壇者に対して研究者や学生から多くの質問が寄せられました。