「第4回コンテンツと法シンポジウム―『共感』されるコンテンツの利活用―」を開催しました

東海大学総合社会科学研究所知的財産部門では1月18日に、高輪キャンパス2号館で「第4回コンテンツと法シンポジウム」(共催:日本知財学会コンテンツマネジメント分科会)を開催しました。本研究所は、社会科学系研究の活性化を図るための拠点として設立された学術研究機関です。知的財産部門ではファッションやコンテンツにかかわる法律など、知的財産に関する新たな研究分野を切り拓いています。今回のシンポジウムは、「『共感』されるコンテンツの利活用~仮想空間からツーリズムまで~」をテーマに実施。法律関係者、企業の知的財産権担当者、大学院生、学生など約70名が参加しました。

はじめに、株式会社エクシヴィ代表取締役社長の近藤義仁氏(GOROman)が、国内外の企業が開発している最新のVR機器について、企業の研修や医療手術のトレーニングなどに使われている様子を紹介。「最近では、VRツールで創作したアート作品を、世界中の人々とコミュニケーションがとれるソーシャルVRを使って発表するケースも多く、新しい経済圏ができています。パソコンやインターネットが日常的になったことで働き方が変わったように、これからの時代は創作活動や働き方が大きく変わる可能性があります」と語りました。続いて、本研究所の角田政芳知的財産部門長が登壇し、現行の著作権法がどの程度VRに対応できているのか指摘。「VR空間でアバターに扮し、キャラクターのライブに参加できるイベントも多数開催されているほか、キャラクターになりきって演技し、撮影したものの配信もできます。また、VRでは、嗅覚、味覚、触覚の著作物を創作し、ネット配信や再製することができますが、現在の著作権法は視覚と聴覚の著作物しかカバーしておらず、現在の法律ではVRの著作権はしっかりと守られていないため、VRの技術とビジネスの発展は法律を根本的に見直す契機となる」と提言しました。

また、VRを用いた地域創生ビジネスの報告として、日本総合研究所客員主任研究員の田中康之氏と加賀電子株式会社の中橋篤氏が登壇。映画や漫画の舞台となったロケ地を訪れ、その地域のファンを増やす取り組み「ロケツーリズム」を北海道小樽市で実施した経験を振り返り、オリジナルVRゴーグルと360度漫画の世界に入れるアプリの開発、原作者との現地ツアーなど、参加者から好評を博した事例を解説しました。アニメツーリズム協会理事兼事務局長の寺谷圭生氏は、アニメの舞台となった場所を訪れる「聖地巡礼」をフックにした観光推進の取り組みを紹介。「ブームで終わらせないためには、地域とファン、企業、作品の権利者との連携が重要です。こうした活動を『コトビジネス』として発展させていくためには、権利者の意向を尊重しリテラシーを追及して海賊版対策を練る必要がある」と訴えかけました。

閉会にあたって山田清志学長があいさつに立ち、「VRなど新たなコンテンツが普及する中で、知財や著作権について多様な業界の方からお話を聞けるのはとても貴重な機会。今後はより多くの方が意見を交わせるよう、ワークショップのような形式でも開催できればと考えています」と語りました。

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