情報通信学部

大川 猛

ロボットへのFPGA導入のための
コンポーネント技術

研究概要

 ロボットや自動運転のためのロボットビジョンを実現するための画像認識処理において、ニューラルネットワークの活用などによって大幅に機能が向上しつつあります。更に、分散配置された多様なセンサの情報を統合した判断が必要になってきます。こうした処理に通常のPC で用いられるような高性能プロセッサを用いると、発熱及びバッテリー持続時間が短くなる問題があります。そのため、任意のディジタル回路をプログラム可能な半導体LSI チップであるFPGA を活用するための研究を行っています。
*FPGA: Field Programmable Gate Array、任意のディジタル回路をプログラム可能な半導体LSI チップ

図1 FPGAで画像認識する自動運転ロボットカー

エネルギー効率の高いFPGAの活用

 ロボットや自動運転のためのロボットビジョンは、ニューラルネットワークの活用などによって大幅に機能が向上しつつあります。こうした処理に通常のPC で用いられるような高性能プロセッサを用いると、発熱の問題およびバッテリー持続時間が短くなる問題があります。そのため、エネルギー効率の高い処理が可能なFPGAを活用するための研究を行っています。

FPGA の部品化(コンポーネント化)・再利用によるシステム統合容易化

 FPGA は、アプリケーションに特化した最適なハードウェア処理(ディジタル回路による並列処理)で、低消費電力で処理を高速に行うことが期待されています。一方、ハードウェアは、ソフトウェアと比べて設計開発が難しい課題があります。更に、分散配置された多様なセンサの情報を統合した判断が必要になってきます。

 この問題に対して、FPGA を部品(コンポーネント)化することで、ソフトウェアシステムへのFPGA 導入を容易化することを提案しています。これまでの研究成果の一例として、FPGA をROS* ノードとして動作させイーサネット経由でアクセス可能とすることで、容易にロボットシステムに導入することが可能となります。図2は、ネットワークで接続したFPGA をROS ノードとして動作させたシステムの写真です。PC と同等の処理性能( 約19ms、通信時間含む) のFAST 特徴点抽出処理(640×480) を、10 分の1 の消費電力(5W) で行うことが出来ました。
*ROS: Robot Operating System ロボットソフトウェア開発基盤

図2 ROS-FPGA

FPGA のモデル駆動設計による設計生産性向上

 高性能なディジタル回路の開発は通常Verilog-HDL やVHDL といったハードウェア記述言語(HDL) で行われます。しかし、これらの言語は回路の構造を記述するものであり、電気信号レベルであることから設計に時間がかかります。この問題に対し、FPGA の開発の際に細かいハードウェアを一から開発するのではなく、システムの振る舞いモデルからのハードウェア自動生成のための設計技術(モデル駆動開発)の導入によって、FPGA を含んだシステムの設計生産性が向上を目指しています。

国際大会での優勝経験あり!

 大川研究室と九州工業大学の合同チーム「Ultra_Bot」が (FPT’21) FPGA Design Competitionで優勝しました。