石野(金児)知子教授らの研究グループが「脳における認識機能に重要な役割を果たしている獲得遺伝子」を世界で初めて実証しました

2015年09月30日

健康科学部看護学科の石野(金児)知子教授らの研究グループ※が、哺乳類の脳における注意や認識機能にLTRレトロトランスポゾン由来のSIRH11/ZCCHC16遺伝子が関係していることを、マウスを使った実験により世界で初めて実証。9月24日にその成果が国際科学雑誌『PLoS Genetics』のオンライン版に掲載されました。この研究は、独立行政法人日本学術振興会の「最先端・次世代研究開発支援プログラム(NEXT)」の助成(2010~13年度)を受けて進められ、期間終了後は東京医科歯科大学難治疾患共同拠点事業の支援を受けて継続していたものです。

石野(金児)教授はこれまで、LTRレトロトランスポゾンに由来する獲得遺伝子(DNAの転移により生まれた遺伝子)を研究し、PEG10、PEG11/RTL1、SIRH7/LDOC1の3種類が、哺乳類独自の生殖様式である胎生(胎盤で子どもを育てる仕組み)に重要な役割を持つことを明らかにしてきました。今回は、これらの遺伝子群の一つであるSIRH11/ZCCHC16が、哺乳類の脳の認識機能に関連していることを実証したものです。

研究グループでは60種類以上の哺乳類ゲノムを調査し、SIRH11/ZCCHC16遺伝子がヒトを含む哺乳類だけに存在することを明らかにしました。また、同遺伝子をつぶしたマウスを対象に行動試験を行い、注意力などの認識反応や活動性に異常が見られることを発見。さらに、このマウスの脳内の神経伝達物質の濃度変化を調査し、注意力などの認識反応に関与する神経伝達物質・ノルアドレナリンの量が低下していることをつきとめました。これらの結果から、同遺伝子が哺乳類の調和のとれた活動性に関与している可能性が高く、ヒトの精神・神経疾患の原因遺伝子候補として、今後の重要な解析対象になると考えられます。

石野(金児)教授は、「以前はそれほど重要性が認められていなかったレトロトランスポゾン由来の獲得遺伝子群の中から、『胎生』や『高機能の脳』といった哺乳類の特徴に重要な役割を果たすと考えられる遺伝子を発見したことで、さらに同遺伝子群が注目されていくと思います。こうした遺伝子の発見はさまざまな病気の原因解明につながることが期待されます。今後も研究を続け、医学や医療の進歩に寄与していきたい」と抱負を話しています。

※共同研究グループ参加者
東京医科歯科大学難治疾患研究所 入江将仁特任助教(元東海大学健康科学部 特任助教)
東海大学医学部医学科基盤診療学系 吉川正信准教授
理化学研究所バイオリソースセンター(BRC)マウスクリニック
多細胞システム形成研究センター(CDB)変異マウス開発ユニット
東京医科歯科大学難治疾患研究所 石野史敏教授のグループ

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