「レントゲンの日記念」市民公開講座「医療被ばく低減に向けての取り組み」が高輪キャンパスで開催されました。

本学の今井裕副学長(医学部教授)が理事を務める公益財団法人日本医学放射線学会と日本学術会議の共催による「レントゲンの日記念」市民公開講座「医療被ばく低減に向けての取り組み」が、9月23日(祝日)に高輪キャンパスで開催されました。

1895年11月8日にヴィルヘルム・コンラート・レントゲンがX線を発見したことを記念して欧州放射線学会ではこの日を「レントゲンの日」として祝しており、日本を含む多くの諸外国でも記念イベントが開催されています。日本では人口100万人あたりのCT装置の台数が諸外国と比べて極めて多く、近年CT検査による放射線被ばくと健康への影響が危惧されています。これを受けて日本放射線学会では“Japan Safe Radiology”として、医療被ばく低減を含めて、国民が安心・安全に放射線医療を受診できるような制度の構築を目指し、2016年6月にアドホック委員会を設置しています。今回の「レントゲンの日記念」市民公開講座では、“Japan Safe Radiology”の趣旨について紹介されました。

開会にあたり今井副学長があいさつに立ち、「現在、我が国は諸外国からCT装置の多さに対して医療被ばくの低減がきちんとできているのかを問われています。日本医学放射線学会としては“Japan Safe Radiology”というテーマでさまざまな取り組みをしており、今日お集りいただいた皆さまにご紹介していきたいと思います」と講座の趣旨を説明しました。

続いて、同学会所属の放射線科医らや厚生労働省医政局担当者が登壇し、レントゲンがX線を発見するまでの生い立ちや医療機器メーカーによる最新CTの技術、医療被ばくの適正管理など、さまざまな角度から放射線医療の歴史と“Japan Safe Radiology”の取り組みについて説明されました。また、登壇者全員と同学会の青木茂樹副理事長(順天堂大学教授)による総合討論も実施。「検査の有無を決めるのは患者と対峙している医師であるため、その判断材料をしっかり定義するのが我々の役目」「この機会にエビデンスをはっきりさせて、検査の回数を減らしていくことから始めていく」など、今後の展開についてさまざまな意見が披露されました。同学会の本田浩理事長(九州大学教授)は、「厚生労働省と常に連携を取りながら、安心・安全な放射線医療を皆さまに提供するべく、今後とも努力していきたいと思います。これをきっかけに放射線医療に対する理解を深めていただけたら幸いです」と述べました。

今井副学長は、「自分たちが若手のころ夢に見ていたような技術が、今の時代は現実のものとなっています。科学の力はどんどん進歩していますが、正しく使わなければ患者さんに適切な医療が提供できません。日本放射線学会では今後、全国の病院での診療実態を収集・共有し、医師がきちんと放射線診療における適正な被ばく管理できるよう呼びかけていきたい」と語っています。

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