高木岳彦講師らの研究グループが「個々人に適応する学習機能を持った筋電義手」を開発し臨床実験を開始します

2015年11月26日

医学部で手外科、末梢神経外科を専門とする高木岳彦講師(外科学系整形外科学)らの研究グループ※が、個々人に適応する学習機能を持った筋電制御装置と知的電動義手の開発に成功しました。この研究は、電気通信大学大学院教授で同大学脳科学ライフサポート研究センターの横井浩史センター長を中心に2010年にスタートし、日本学術振興会(JSPS)の科学研究費補助金、科学技術振興機構(JST)と日本医療研究開発機構(AMED)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)、AMEDの脳科学研究戦略推進プログラムの支援を受けて行ってきたものです。11月11日には電気通信大学で記者会見を実施し、研究成果を報告したほか臨床実験への協力を呼びかけました。

筋電義手は、筋肉を動かす際に発生する電気信号(筋電位)により動作を制御する義手です。電気信号の大きさやパターンは人によって異なるため、訓練に時間がかかり、使用できる人が限定されるほか、高価で重いなどの問題がありました。今回開発した筋電義手は、個々人の筋肉の動きを簡単に義手に覚えさせることのできる学習機能を持ったロボットハンドです。使用者が手を「握る」「開く」などの感覚で筋肉を動かし、それらの電気信号のパターンを義手に内蔵された小型のマイクロコンピュータにインプット。義手を装着して同じように筋肉に力を入れると自分の意思で義手を操れるようになるもので、短時間の練習で使用できます。

また、筋電の制御システムやセンサー、モーターなどの主要部品のモジュール化、小型軽量化を図ってコストを削減。グローブ部分は柔軟性に優れた素材を用いて3Dプリンターで造形することで理想的な形や厚みを実現し、「コインをつまむ」「紙コップなどの柔らかいものをつかむ」「靴のひもを結ぶ」などの動作を可能にしました。乳幼児から成人までさまざまなサイズに対応できるほか、既存の装飾用義手に組み込むこともでき、初めて使用する人や筋残量が少ない人でも容易に利用することができます。

今後は厚生労働省が定める補装具の完成用部品の指定を目指して被験者を対象とした実験に取り組み、日常生活における有用性について専門家の評価を受ける計画です。高木講師は「研究開発の段階を終了し、いよいよ医療の一環として商品化、流通化を図るための臨床実験に入ります。東海大学医学部付属病院の整形外科と国立成育医療研究センターの臓器・運動器病態外科で受け付けていますので、多くの方たちに協力していただければ」と話しています。

※共同研究グループ参加者
電気通信大学大学院情報理工学研究科知能機械工学専攻
脳科学ライフサポート研究センター 横井浩史教授・センター長
東名ブレース株式会社 西井千尋氏
国立成育医療研究センター臓器・運動器病態外科部 高山真一郎部長
横浜国立大学大学院工学研究院システムの創生部門 加藤 龍准教授
株式会社メルティンMMI 伊藤寿美夫代表取締役

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