「ノウフクコンソーシアム西日本」の設立総会とシンポジウムを開催しました

熊本キャンパスでは9月5日に、「ノウフクコンソーシアム西日本」(NCN)の設立総会とシンポジウムを開催しました。「農福連携」は障がい者や高齢者が農業分野で働くことで社会参画を促すとともに、農業の担い手不足改善を目指す取り組みです。NCNは、本学などが参加する熊本県農福連携協議会が中心となって地域協議会や福祉団体など13県の23団体で設立。本学文理融合学部の濱田健司教授が最高顧問を務め、都道府県の枠を超えて西日本の農福連携を推進します。

当日は、西日本各地から約120名が参加。第1部の設立総会では、初めにNCNの公文一也会長が、「2年前に熊本県農福連携協議会が設立して以来、県境を越えて視察や交流を重ねるうちに、地域の垣根を超えた連携の可能性を強く感じるようになりました。互いに顔が見える関係性の中で、困っている事業所や生きづらさを抱えている方々に自然と手を差し伸べる、温かい連携を目指していきます」と語りました。農林水産省農村振興局都市農村交流課農福連携推進室長の藤田覚氏ら来賓のあいさつに続いて、NCN理事の天野雄一郎氏が設立趣意を説明。役員が自身の活動を交えて意気込みを語り、公文会長が設立を宣言しました。

休憩時間には本キャンパス本館前で農福マルシェを開催しました。濱田教授のゼミに所属する学生たちが農福連携で栽培された野菜やパンなどを販売したほか、8月に県内で発生した台風被害に対する募金活動も実施。キッチンカーも多数並び、「くまモン」によるパフォーマンスも行われてにぎわいを見せていました。

第2部では、熊本県農福連携協議会の奥野靖夫会長が今後への期待を語り、熊本県の木村敬知事は「コンソーシアムの取り組みが広がっていくように行政として支えていくとともに、私自身も農福連携を一生懸命推進していくことをお約束します」とあいさつ。本学の木之内均副学長(九州キャンパス担当)は、「大学の知見や全国にある本学全体を活用していただき、コンソーシアムが西日本の社会の中で頼られる組織として成長していくことを願います」と期待を寄せました。続いて濱田教授が「ノウフクコンソーシアム西日本への期待―地域と人をつなぎなおす『実践』の力―」と題して基調講演。農福連携を広めるために、農業だけでなく水産業や林業などに範囲を広げる案や、商業や教育といった+αと組み合わせる可能性、NCN設立の目的などを語り、「多様な関係者がそれぞれの立場を超え、専門性を持ち寄ることで新しいものが生まれます。現場のために団体や個人が主体的に繋がり、農福連携を実践する新しい共同体を構築していくことが必要です」と解説。今後に向けて、「一人ひとりが笑顔になり、社会や地域をつくっていくことを目指しています。知らないことを教え合い、現場に落とし込んで実践し、全国に展開していければ」と話しました。最後に、NCN理事の藤戸小百合氏をコーディネーターに、副会長の新免修氏(社会医療法人みどり会さんさんグリーン施設長)、理事の堀川佳恵氏(一般社団法人STEP UP代表理事)、石神裕美子氏(NPO法人たかつき事業本部長)、天野氏(大隅半島ノウフクコンソーシアム事務局長)によるシンポジウムを実施。それぞれが取り組む農福連携の活動や必要性、利用者の様子などを紹介し、会場も交えてディスカッションしました。