本学病院本部病院運営企画室課長の原田渡職員(工学部1997年度卒業)と九州カレッジオフィスの山本汐来職員(法学部2017年度卒業)が、10月11 日に東京武道館で開催された「第60回全日本居合道大会」の都道府県対抗優勝試合に神奈川県代表として出場し、準優勝しました。個人成績では原田職員が七段の部で第2位、山本職員が五段の部で第1位となりました。両選手は前回大会で神奈川県代表として優勝。原田職員は、57回、58回の同大会で七段の部連覇を遂げ、山本職員も前回大会で2位になるなど優秀な成績を残しています。

居合道は目前の「仮想敵」を斬り倒すために実戦で想定される形の動作を演武する武道です。試合は2名の出場者が、真剣または模擬刀を用いて、あらかじめ定められた全日本剣道連盟居合と各流派の形の計5本を6分以内に演武。3名の審判が、それぞれの形における仮想敵との“斬り合い”を細かく審査し判定します。初心者も高段者も形は同じですが、高段になるほど仮想敵と対峙する際の目付や体裁き、間合いなど、実際に敵が眼前にいるかのごとく戦う姿が求められます。全日本居合道大会は各都道府県から選抜された五段、六段、七段の各1名、計3名が1チームとなって段別に分かれてトーナメント方式で競い、第1位と第2位を決めます。勝者には勝つごとに1点が与えられ、都道府県対抗優勝試合は3名の選手の合計点によって成績が決まります。
原田職員は湘南キャンパスで活動する居合道部の監督も務めています。“教え子”でもある山本職員は、「稽古場所が湘南と九州の両キャンパスで離れている中、原田先生に自分の演武動画を送ってコメントを受けるなど工夫して取り組んできました。日常的に高段者の“見取り稽古”ができない分、ユーチューブなどを駆使して多くの先達の演武から学び、精神的な面での改善を目指して自分自身を見つめ直した1年間でした」と振り返ります。原田職員も、「山本さんの演武へのコメントひとつにも指導者としての責任があります。教え子の動画を見ること、それにコメントを出すことといった積み重ねは、大いに自分の演武を磨くための勉強になっています」と話します。

来年11月に八段の昇段審査に臨む原田職員は、次回大会で選手としての出場は最後となります。自身も六段の審査に向けて精進の日々を送る山本職員は、「2007年に原田先生が五段の部で初優勝しており、ようやく背中が見えてきました。次回の大会はその感謝の思いを大事にして、さらに精進して自分の甘さと向き合い、原田先生にとって意味あるものにしたい」と早くも意気込みをみせます。原田職員も、「この一年は七段として有終の美を飾るために努力を重ね、願わくは教え子たち全員でチームを組み、優勝したいと考えています」とコメント。「学生たちには常に向上心をもって前向きに取り組み、世界に向けて居合道の魅力を発信する剣士に育ってほしい。そのために自分にしかできないことを考え、後進に“東海大で居合道をやりたい”と思ってもらえる居合道部にすることが目標です」と話しています。