シンポジウム「彫刻をさわる時間」を開催しました

資格教育センターでは2月15日に千葉県立美術館で、シンポジウム「彫刻を触る時間」(共催:筑波大学芸術系彫塑研究室、松前記念館、文明研究所、協力:千葉県立美術館)を開催しました。千葉県立美術館で3月1日まで開催された「彫刻に触れるとき『さわる』と『みる』がであう彫刻展2026―千葉盲学校アートギャラリー作品と共に―」の関連イベントとして、本学資格教育センターの「地域連携によるユニバーサル・ミュージアム普及事業」の一環で開いたもの。彫刻芸術における触覚性や「触れる鑑賞」の可能性を考えることなどを目的に行い、オンラインと合わせて約50名が参加しました。

彫刻展には、千葉盲学校の児童・生徒が1970年代中頃から90年代初めにかけて制作した彫刻作品146点を展示。同校の改修に伴い場合によっては破棄される可能性もあった当時の作品群を、筑波大学准教授の宮坂慎司氏らの研究グループがクラウドファンディングで資金を募り保存活動に取り組んできました。シンポジウムでは、当時の同校で造形教育の指導にあたった西村陽平氏と冨澤正宏氏を招き、企画・運営を務めた本センターの篠原聰准教授や宮坂氏、国立民族学博物館の教授を務める全盲の広瀬浩二郎氏ら有識者が集い、当時の制作環境や作品の魅力についてディスカッション。登壇者たちは個性豊かな作品群を振り返りながら、視覚障害教育における美術のあり方に特色を持てた当時の造形活動の様子や、釉薬を使わずに「黒陶」の技法で作られた作品の魅力、現代の盲学校における造形活動の課題や展望について意見を交わしました。

宮坂氏は、「近年、各地の美術館がバリアフリー様式の展示を企画していますが、私の活動の原点である過去の“触れる彫刻展”の取り組みはほとんど記録に残っていません。諸先輩方の活動を振り返り、改めてこれらを記録に残したいという思いから今回の展示とシンポジウムを企画しました。西村先生や冨澤先生が語る当時のリアルな話からは学ぶことがたくさんあり、大いに刺激になりました。篠原先生とは長年、“損得抜きに、意義のある活動をしよう”と各地の盲学校や美術館などでワークショップなどを行っていますが、そうした思いは西村先生と冨澤先生の当時の考えと一致している部分もあると思います。また、今回作品収蔵にあたりクラウドファンディングを実施したプロジェクトは『掌の中の宇宙』と題し、クラウドファンディングのホームページ内で活動報告を随時更新しているので※、これを機に私たちの活動を多くの方に知っていただけるとうれしい」と話しています。篠原准教授は、「シンポジウムには神奈川県立平塚盲学校の先生など各地で造形教育に取り組む方々にご参加いただきましたが、話の折々から皆さんの命を燃やすような熱い思いを感じました。書物などにほとんど残っていない70~80年代の話を聞く貴重な機会となったので、私たちの今後の活動につなげていきたい」と語りました。

※クラウドファンディングの詳細は下記よりご覧ください。