
農学部動物科学科の松野雄太講師が日本ジェネティクス株式会社の若手研究者支援プログラム「ジェネ・グラント」に採択され、「ウシにおける老化関連線維化の解析と受胎率低下のメカニズムの解明」をテーマに研究に取り組んでいます。研究用消耗品・試薬・機器を取り扱う同社が実施するジェネ・グラントは35歳以下の研究者が対象で、2025年度は5名が採択されました。松野講師は総合農学研究所の今川和彦教授の下で博士研究員、特任助教として研究に取り組んだ後、上原記念生命科学財団の海外留学助成を受けて米国で研究活動を行いました。さらに、国内バイオベンチャー企業でゲノム編集マウス作製の受託事業に従事するなど、基礎研究から先端バイオテクノロジー分野まで幅広い経験を積みました。その後、再び今川研究室に博士研究員として研究に携わり、昨年4月に本学科に着任しました。同年11月に本プログラムへ採択されています。
ウシの人工授精による受胎率は50~60%と言われています。発情周期は約21日ですが、人工授精後に妊娠鑑定ができるまで35~40日程度かかります。そのため、受胎しなかった場合は次の発情周期を待たなければならず、結果として約42日間を失うことになり、経営面にも大きな影響を及ぼします。受胎率低下には育種改良の影響や温暖化によるストレスなどが影響していると考えられていますが、松野講師は新たな要因として子宮内膜の機能低下につながる組織線維化と細胞老化に着目しています。「細胞老化は加齢に伴う老化とは別の概念で、年齢に関係なく細胞が増殖しなくなり、周りの細胞や組織にも悪影響を及ぼします。細胞老化が組織線維化を誘発するのか、線維化しているところに細胞老化が多いのか、どちらが先かはまだ分かりませんが、密接に関係しているのは確かです。現在は、熊本県の食肉衛生検査所の協力を得てウシの子宮のサンプルを集めて解析を続けています。『老化関連線維化』という新たな観点から受胎率低下のメカニズム解明に挑み、将来的には受胎率低下の診断・予防指標を開発して、畜産現場における繁殖効率向上につなげていきたい」と話しました。
なお、日本ジェネティクス株式会社のWebページで「2025年度ジェネ・グラント」採択者のコメントが紹介されています。こちらも合わせてご覧ください。

