本学URA教員の尾内敏彦教授(学術戦略研究所)がこのほど、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)による大学発新産業創出基金事業「早暁プログラム第2期ステージ2」に採択されました。同プログラムは大学等発スタートアップ創出に向け、研究成果や技術を社会実装へと発展させる“事業化人材”が起業や投資の経験を有するメンターの助言を受けながら、自らが描いた事業アイデアを形にしていく取り組みです。尾内教授は昨年末に同プログラムステージ1に採択され、約5カ月の採択期間中に研究シーズの探索や起業経験者との面談、ビジネスモデルの構築に取り組み、専門とするテラヘルツ波研究の技術を生かしたビジネス創出を目的とした研究チームを形成。今後は来年3月までの約7カ月間、社会実装に向けた活動に取り組みます。

尾内教授の採択課題は、「テラヘルツ波を用いた非破壊検査装置の開発」がテーマ。小型テラヘルツ発振器による透過・物性検出技術を用いた非接触・非破壊の高速スクリーニングシステムを開発し、交通機関やイベント会場、遊戯施設などの身体・荷物検査において、利用者の負担軽減と安全性の確保の両立を目指します。また、技術を応用して多定点監視カメラ、ポータブル検査装置および判定システムへの事業展開も検討する計画です。採択課題の研究代表者は、筑波大学数理物質系准教授の柏木隆成氏が務め、尾内教授は「事業化人材」として社会実装に必要なビジネスモデルの構築やマーケティングを担います。
尾内教授は、「空港やテーマパークなどにおける現状の所持物検査はX線やミリ波などを用いており、どのような物があるかを透過像で形状を主に調べています。年々技術が向上し、近年は飲み物やパソコンなどの機器を鞄に入れたまま検査場を通過できる装置も開発されて導入され始めています。私たちが研究しているテラヘルツ波は電波と赤外線の間に位置する電磁波であり、物質によって周波数の吸収特性が異なることから、既存の装置では調べられなかった対象物までも検査できる安全・安価な非破壊検査装置の開発に役立てられないかと考えました。柏木先生はテラヘルツ波を発生させる発振器の研究を専門としていることから、今回の事業化テーマにおいて研究開発を共同で進めていただくことになりました。私の役割は市場調査や製品化に向けた手続き、ビジネスモデルの構築がメインになりますが、同じテラヘルツ波の研究者としての知見や経験を生かしながら研究を進めていきたいと考えています。また、URA教員として今回の取り組みを一つのモデルケースとし、本学の研究成果を社会実装へとつなげていくための仕組みづくりにも生かしていきたい」と話しています。