「辻原登文庫」が付属図書館に寄贈されました

2018年11月26日

湘南キャンパスの付属図書館館長室で11月16日に、文化社会学部文芸創作学科の辻原登教授の全作品を集めた「辻原登文庫」の贈呈式を実施しました。辻原教授は、1990年に『村の名前』で芥川賞を受賞したほか、2000年には 『遊動亭円木』で第36回谷崎潤一郎賞、10年に『許されざる者』で第51回毎日芸術賞に選出されるなど、多くの文学賞を受賞。1992年から本学で教鞭をとり、本学の高校生が各教科やスポーツの学びの成果を競う学園オリンピック国語部門や、文芸創作学科の立ち上げも携わってきました。16年には、これまでの業績が高く評価され、日本芸術院賞も受賞。現在は横浜市中区の神奈川近代文学館館長も務めています。

今回の文庫創設は、辻原教授のこれまでの業績をあらためて顕彰し、本学の財産として長く継承することが目的です。同館では、本学教員や卒業生の著書を集めた文庫の整備を計画しており、今回の「辻原登文庫」はその端緒として設けられたものです。文庫には辻原教授所蔵の初版本を中心に、これまで執筆した全作品が収められており、今後も新著が発刊され次第追加していく予定です。贈呈式では、辻原教授から中嶋卓雄館長に今年11月に発刊された『不意撃ち』が手渡されたほか、文庫に表示されるプレートの下書きと「粗有細心(「おおらかさの中に細やかな心」の意)」と書かれた色紙が贈られました。

辻原教授は、「私が東海大学で教えるようになったのは、文系・理系を問わず文章力を磨くことが必要であるとの考えで設置された『言語芸術学特別講義』の講師を務めたことがきっかけでした。それから四半世紀ほどの月日が経ちましたが、作家として本格的な活動を続けてきた期間と大学で教鞭をとった期間はほぼ合致しており、作品のほとんどは大学との縁の中で生まれてきたものだと考えています。その意味で今回文庫を寄贈できたことをうれしく思っています。古来人が本を読む目的は、情報取集がメーンでした。読むという行為自体は人にとって面倒なものですが、情報を入手し、考えるために必要だったからこそ多くの人がそれをいとわなかったのだと思います。誰もが気軽に情報を得られるようになった現代では、その土台が崩壊しつつあります。しかし、人が本当の知識や能力を身につけようとするときには、自らの思考を駆使して本を読むような『めんどうくさいこと』を経験しながら、情熱をもって続けることが絶対に欠かせないとも思っており、その大切さを教える場こそが大学だと考えています。作品を通して、本の面白さを感じるきっかけにしてもらえれば」と話しています。

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