第三回東海大学特別企画セミナー「パラリンピックを通じての学び」を開催しました

1月23日に湘南キャンパスで、第三回東海大学特別企画セミナー「パラリンピックを通じての学び」を開催しました。今回は、東京2020パラリンピックのマラソン競技に出場内定されたブラインドマラソンランナーの道下美里選手(JBMA強化指定選手)の伴走者として数々の成績を収めた本学卒業生の志田淳さん(工学部1996年度卒)と青山由佳さん(体育学部2008年度卒)が講師を務めました。志田さんは、在学中に陸上競技部駅伝チームの選手として箱根駅伝に3年連続で出場するなど活躍し、卒業後にはガイドランナーとして北京パラリンピックやロンドンパラリンピックなどに出場しています。青山さんも陸上競技部の選手として関東インカレ1万mで6位に入賞。卒業後も市民ランナーとして競技を継続し、2015年からガイドランナーを務め、リオデジャネイロパラリンピックにも出場しました。2017年12月の防府読売マラソンでは道下選手のガイドランナーを志田さんと青山さんが務め、2時間56分14秒の世界新記録もマークしています。

当日は、体育学部の学生や運動部に所属する学生、教職員約400名が参加。山田清志学長のあいさつに続いて、まずは志田さんが登壇し、自身の学生時代や実業団選手としての実績を紹介しました。選手を引退後に後輩の誘いを受けてガイドランナーとしての道を歩み始め、「最初は選手と一緒に歩くことから始めましたが、その際に”目の前に階段がありますよ”と注意を促すと、”上りですか? 下りですか?””段の幅はどれくらいですか?”と聞かれ、選手たちの目になることの難しさを初めて知りました」と振り返りました。数多くのトップランナーのガイドランナーを務めた志田さんは、「パラアスリートたちは、障がいというなかなか受け入れがたいものと真摯に向き合い、受け入れることで素晴らしい結果を残しています。皆さんも生活をする上でさまざまな壁と向き合うことがあると思いますが、その壁を打ち破る才能が秘められているはずです」とメッセージを送りました。また、東京パラリンピックに向けて、「新国立競技場の表彰台を常にイメージしながら練習やレースに臨んでいます。表彰台の真ん中には道下選手と青山さん、そして私が登り、金メダルを手にすると会場中から万雷の拍手を受けます。パラリンピックが終わった際には、母校で皆さんによい成績を報告できるよう頑張ります」と語りました。

続いて登壇した青山さんは道下選手との出会いやガイドランナーの役割を紹介。「ガイドランナーは、ただコースに沿って走るだけではありません。ペースが落ちてきたときに選手に合わせてスピードを落とすのか、それとも選手を鼓舞するべくそのペースを維持するかなどレースメイキングも行います。そのため常に冷静に状況を把握し、選手へ前向きなレースプランを伝えることを心がけています。ただ、ガイドランナーはレース中に選手への助力が禁止されており、頑張れと励ましの声をかけたり、タイムを速めるために選手よりも先にゴールをしたりすると失格になってしまうなど細かいルールも定められています」と話しました。さらに、「ガイドランナーはレース中だけでなく、大会遠征中などに選手の生活も介助します」と語り、道下選手と出場したリオデジャネイロ五輪の選手村での様子などを振り返りました。

講演後には質疑応答も行われ、聴講した陸上競技部駅伝チームの両角速駅伝監督(体育学部准教授)や選手のほか地域住民や教職員からも質問が寄せられていました。最後には聴講者を代表して2名教養学部の学生から志田さんと青山さんに激励の花束を贈りました。

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