海洋理工学会「2019年度秋季大会」で千賀康弘元海洋学部長が「2019年度顕功賞」受賞記念講演を行いました

海洋学部の千賀康弘元海洋学部長(前・海洋地球科学科教授、現・非常勤講師)が11月19、20日に京都大学楽友会館で開催された海洋理工学会「2019年度秋季大会」で、「2019年度顕功賞」受賞記念講演を行いました。千賀元学部長は1993年から約25年にわたり、長時間・長距離航海と定点観測を目的とした無人観測船の開発と運用に尽力し、多くの海洋関連企業と協力しながらその実用化を目指してきました。関係した各企業では多くのノウハウが蓄積され、新製品の開発に生かされていることから、5月27日に「無人観測船の先駆的開発と運用への貢献」の業績で「2019年度顕功賞」が贈られています。

記念講演では「無人観測船の開発運用を支えてくれた人の輪」をテーマに、本学部に着任した当時を振り返り、「故・杉森康宏先生から声をかけられたことをきっかけに無人船開発に取り組むようになり、失敗を繰り返しながら研究を続けてきました」と語りました。さらに、93年にヨット型自律無人観測船を、99年には外洋での運用を目標としたディーゼルエンジン搭載無人船「かんちゃん」を開発し、主に本州の20~100海里沖合の太平洋上で運用実験を行ってきたと紹介。11年には東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故による福島沿岸海域への放射能拡散を無人でモニタリングする目的で「かんちゃん」に改良を加え、13年からは新たに「Windy-3S」として定期的な観測を実施してきた成果を語りました。「無人観測船の開発と運用は多くの方々に支えられて実現しました。海洋理工学会顕功賞の受賞は大変な栄誉であり、ご推薦いただいた皆さまに心よりお礼申し上げます。支援いただいた方々の多くは海洋理工学会事務局の活動で出会いました。これからの時代を先導する若い研究者や技術者の皆さまにも学会での交流を通して幅広い人脈を開拓し、新たな研究テーマを展開していただきたい」と話しました。

また、同学会では若手研究者・技術者の奨励を目的として、春季・秋季大会発表時点で39歳以下の一般講演およびポスターの発表者の中から発表内容や方法が最も優れていた1名を選考し、大会の最後に表彰しています。今大会では「GEOTRACES計画で得られた海水試料中の硝酸の安定同位体比定量に向けた前処理法の改良」について発表した大学院海洋学研究科海洋学専攻2年次生の有賀詩織さん(指導教員=海洋地球科学科・小松大祐准教授)が選ばれました。

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