医学部医学科の佐藤正人教授らが開発した「自己細胞シートによる軟骨再生治療」が厚生労働省の先進医療会議で先進医療Bとして「適」の判定を受けました

2019年01月24日

医学部医学科外科学系整形外科学の佐藤正人教授らが開発した「自己細胞シートによる軟骨再生治療」が、1月10日に開催された厚生労働省の先進医療合同会議(第71回先進医療会議 第80回先進医療技術審査部会)で、先進医療Bとして「適」の判定を受けました。「先進医療」とは、医療機関が開発した最新の医療技術の有効性や安全性などを臨床現場で評価し、保険適用の可否を判断する制度です。先進医療に指定された医療技術による治療は一定の施設基準を満たした医療機関のみで実施され、一般の保険診療との併用が認められます。本学医学部付属病院では再生医療等安全性確保法に則り、学内の「特定認定再生医療等委員会」の審議・手続きを経て厚生労働省の正式な告示を受けた後、変形性膝関節症で高位脛骨骨切り術が適応となる患者の軟骨欠損に対し、世界初となる細胞シートによる再生医療を開始します。

今回、先進医療Bとして承認されたのは、変形性膝関節症の患者に本人の細胞を培養して作製した軟骨細胞シートを移植し、膝関節の軟骨を修復再生させる治療法です。変形性膝関節痛は、加齢や肥満、O脚などにより膝関節の軟骨がすり減ることによって炎症や変形が生じ、膝に強い痛みが現れる難治性の疾患で、進行すると歩行が困難になるなどQOLの著しい低下を招きます。人口の高齢化に伴う患者数の増加が懸念されており、根本的な治療の開発が待ち望まれていました。

佐藤教授らは修復が難しいと考えられてきた関節軟骨欠損について、2004年から温度応答性培養皿で作製した軟骨細胞シートによる研究を開始し、06年に軟骨再生修復効果を世界で初めて報告。11年に厚生労働省の承認を得て、自己細胞から作製した軟骨細胞シートを膝関節に移植する臨床研究を続けてきました。その結果、痛みの緩和や軟骨(硝子軟骨)の修復再生、関節機能の正常化といった治療効果や、副作用がないなどの安全性などが全例で確認されたため、このたび厚生労働省に「先進医療B」の認定を申請し、認められたものです。

佐藤教授は、「変形性膝関節症に対しては人工関節に置き換える治療がありますが、20年ほどで入れ替え手術が必要となり、高齢者には大きな負担となります。また、従来の移植法では、正常な軟骨(硝子軟骨)が形成されないといった課題がありました。軟骨細胞シートは、ヒトの自然治癒力を最大限に生かして硝子軟骨を修復再生できる治療法です。患者さん自身の細胞から作製した細胞シートはこれまで8名に移植しましたが、最長となる8年を経過した方も含めていずれも経過は良好で、"自然に早くスムーズに治っている感じ""痛みから解放され、やりたいことに挑戦しようと考えるようになった"といった感想をいただいています。高位脛骨骨切り術が適応になる変形性膝関節症の患者さんは、年間で約1万人いらっしゃいます。この治療法により一人でも多くの患者さんが高齢になっても元気で活動できるよう、本治療の保険適用を目指して努力を続けていきたい」と話しています。

◇研究の詳細は下記URLからご覧ください。
 http://cellsheet.med.u-tokai.ac.jp


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◇佐藤正人教授の著書『日本における再生医療の真実』(幻冬舎ルネッサンス新書)が2018年12月に刊行されました。

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