医学部の穂積教授、平野研究員らによる自己免疫疾患の治療応用につながる研究に関する論文が科学ジャーナル『eLIFE』に掲載されました

2020年02月13日

医学部医学科基礎医学系生体防御学の穂積勝人教授と平野健一研究員を中心とした研究グループによる、自己免疫疾患の治療応用につながる研究に関する論文「Delta-like 1 and Delta-like 4 differently require their extracellular domains for triggering Notch signaling in mice(Dll1とDll4の間でNotchシグナル誘導に必要な構造が異なる)」が、1月14日にオープンアクセス科学ジャーナル『eLIFE』に掲載されました。

穂積教授らは、細胞間情報の伝達に重要な役割を果たす膜たんぱく質「Notch(ノッチ)」と、これに結合して受容体を活性化させるI型膜貫通糖たんぱく質「NotchL(ノッチ・リガンド)」の役割や、これらの結合によって誘導され、さまざまな細胞の発生や分化に寄与する「Notchシグナル」の仕組みについて研究しています。哺乳類では、Notchは1から4の4種類、NotchLはDll1、Dll4、Jag1、Jag2の4種類がありますが、これらの分子(Notch系)の異常は腫瘍化を含む多くの細胞の分化異常を引き起こすことが認められ、その重要性が強く示唆されています。

Notch系は、その多彩な機能が明らかになるに伴い、新たな薬剤標的として注目されるようになりましたが、Notch系全体を抑制する薬剤は副作用が強いといった問題があり、製薬会社は薬剤開発からの撤退を余儀なくされている状況です。これに対し、Notch系全体ではなく特定の分子のみを標的にできれば副作用を回避しながら薬効を期待できると考えられますが、個々のNotchとNotchLの組み合わせにおける結合様式の差異は明らかにされていないため、分子レベルでの解明が待たれていました。そこで穂積教授らは、Dll1とDll4の機能調査に着手。両者を詳細に比較して調べた結果、差異がNotch1分子との結合様式の違いにあることを示し、その一部はDll1とDll4の「MNNL」と呼ばれる領域の構造上の特性にあることを明らかにしました。

穂積教授は、「現在はこの成果をもとに、Dll4に特異的に結合してその機能を抑制する小分子化合物の特定を試みています。そのような化合物が発見できれば、副作用を回避しながらDll4を介したNotchシグナルのみを制御することが可能になり、リウマチや炎症性腸疾患といった自己免疫疾患などへの治療応用が期待できます。関係者からは、『独自の視点に立ち、長期にわたり信念を持って研究し続けたことで得られた、有用な成果』との言葉をいただきました。今後も先進生命科学研究所などと連携しながら研究を続け、創薬につなげていきたい」と話しています。

※『eLIFE』に掲載された論文は以下のURLからご覧いただけます。
https://elifesciences.org/articles/50979

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