「IAEA国際スクール 原子力・放射線安全リーダーシップ」を日本で初めて開催しました

2020年03月17日

東海大学では2月17日から28日まで湘南キャンパスなどで、日本・アジア諸国の中堅の人材を対象にした「IAEA国際スクール 原子力・放射線安全リーダーシップ」を日本で初めて実施しました。本研修は、国際原子力機関(IAEA)が2017年10月から原子力・放射線分野の安全利用を担う次世代リーダーの育成を目的に世界各国で行っている研修プログラムの一つとして、IAEAと本学が18年度に締結した原子力安全教育分野における実施協定に基づいて行ったものです。実施にあたってはIAEAが国際基準を学び、リーダーシップを磨くカリキュラムを作成。本学国際教育センター、工学部原子力工学科、外務省、日本原子力産業協会、日本原子力研究開発機構で構成されるタスクフォースが協力し、企画・運営を担いました。

スクールには、インドネシアやマレーシア、フィリピンのほか、日本の企業や研究機関から29名が参加しました。IAEAや東海大学、企業、医療機関などから派遣された9名の専門家による講義では、参加者が輪になって座り、専門家からの講義を聞いた後、少人数のグループに分かれて議論する形式で行われました。グループワークでは、日常の業務や医療の現場で生じるさまざま放射線事故を想定したロールプレイを実施。参加者は、行政機関や住民、企業の担当者などの役割を疑似的に体験しながら、事故が起きた際の関係者の立場や考え方を学ぶとともに、安全が何よりも優先しながら解決にあたることの重要性を体感しました。また、グループ対抗で「カエルの折り紙」の品質を競うゲームスタイルのワークショップなどにも挑戦。製品の高い品質を保つために必要な条件や、生産量を優先させすぎると製品の安全が脅かされることなどについて学ぶとともに、リーダーとしてのあるべき姿や適切な振る舞い、他者への接し方などのスキルを高めるトレーニングを行いました。原子力工学科の教員で講義も担当した若杉圭一郎教授は、「参加者は参加・対話重視の教育コンテンツを通じて、安全文化の本質や多様な価値観を学べたはず。大学の講義にも活用できるツールや学びがたくさんあった」と話していました。

26、27日には、東京電力福島第一原子力発電所のほか、日本原子力研究開発機構の楢葉遠隔技術開発センターや廃炉国際共同研究センターへの視察も行い、東日本大震災後の廃炉や福島復興に向けた取り組みについて理解を深めました。

セルボーティ・ヤシンさん(日立GEニュークリア・エナジー株式会社)は、「原子力分野で働くうえでは、安全管理が最も重要になるため、その分野でのリーダーとなるために必要なことを学びたいと思い参加しました。研修はレクチャーとロールプレイが組み合わさっており、全員参加型で学んだことで、新しい知識や多様な考え方を効果的に身につけられたと感じています。また、さまざまな分野の専門家による授業を受ける中で、一つの項目についても多様な観点から学べたと感じています。この経験を会社に持ち帰り、仲間たちにも成果を広めていきたい」と話していました。また松元佳嗣助教(東海大学医学部医学科)は、「コミュニケーションを密にすることの重要性や、人為的なミスを引き起こす要因、さまざまな立場の関係者間での的確なコミュニケーションの難しさ、安全を維持できるチームづくりなどを学んだ研修でした。またさまざまなバックグラウンドの人に自らの考えを的確に伝えるスキルも磨けるなど、充実したプログラムだったと感じています」と話していました。

国際教育センターの山本佳男所長(工学部精密工学科教授)は、「東海大学は工学部応用理学科原子力工学専攻を1956年に日本で初めて開設して以来、原子力や放射線技術の平和利用に貢献し、安全利用を担う人材を育成してきました。その理念を具現化する取り組みとして2013年度からはIAEAとの協力のもと、国内の技術者を対象にした『原子力の国際安全基準コース』も展開しています。今回の国際スクールは、そうしたこれまでの実績や成果を踏まえ、IAEAとの連携が新たなステップに入ったことを示すもので、実現に尽力してくださった国内外の多くの方々に感謝したい。IAEAとの協力においては、国際安全基準を学ぶ教科書の作成も進めており、今後もこうした取り組みを通じて原子力や放射線の安全利用に貢献していきます」と話しています。

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