第4回世界小規模漁業会議・アジアパシフィックが開催されました

静岡県・清水テルサで5月10から12日まで「第4回世界小規模漁業会議・アジアパシフィック」が開催されました。この会議は、Too Big To Ignore(TBTI)プロジェクト(本部:カナダ・ニューファンドランドメモリアル大学)が4年に一度開催するもので、世界各国から小規模漁業に関心のある研究者、行政関係者、実務家、学生、漁業者及び漁業者団体などが集まり、研究発信と議論を行う超学際的な場となっています。今回は、TBTIプロジェクトのリージョナルハブであるTBTI ジャパン研究ネットワークのコーディネーターで、海洋学部水産学科の李銀姫准教授が中心となり、日本を含むアジア太平洋地域における小規模漁業のより良い未来の実現を目的として、「Building Forward Better」というテーマで開催されました。期間中は、対面とオンラインのハイブリッド形式で実施され、世界各国から小規模漁業の研究者や行政関係者、漁業者団体関係者ら約250名が参加しました。

オープニングセレモニーでは、静岡市の田辺信宏市長から寄せられたビデオメッセージが上映された後、由比港漁業協同組合長の宮原淳一氏と海洋学部の齋藤寛学部長らがあいさつ。最後に、李准教授が「世界30カ国以上が参加する国際会議が日本の静岡県で開催できたことを大変うれしく思います。それぞれの考えや情報の交換を通じて、小規模漁業が抱える諸問題の改善とともに、今後のより良い発展につながること期待しています」と話しました。

期間中は、「ジェンダー」や「ガバナンス」、「リサーチ」、「ファイナンシャル」、「フード」、「ジャスティス」をメイントピックスにした6つのプレナリーセッションと23のパラレルセッション、さらに2つの一般公開イベントを実施。プレナリーセッションでは、小規模漁業における女性の立ち位置や女性の参画で生まれる価値についての講演などがあり、パラレルセッションではアジア諸国の専門家による水産物の消費と流通の現状についての意見交換も行われました。

10日には、李准教授らがコーディネートする活動である「漁する女子ジャパン」に関連した一般公開イベントとしてシンポジウムも実施。はじめにフランス・ブレスト大学のカティア・フランゴード教授が「漁業におけるジェンダー平等」をテーマに講演しました。続いて、李准教授が昨年10月から毎月実施している「漁する女子ジャパン」の活動内容について講演。カナダ・ニューファンドランド地域で実施されている「漁する女子カナダ」プログラムとの連携をはじめ、女性の漁業への認識や参画を高める企画の概要を紹介するとともに、「世界経済フォーラムが毎年発表しているジェンダーギャップ指数で、昨年日本はワースト2位という結果が出ており、これは男社会と呼ばれる漁業分野も同じです。そこで、日本の漁業におけるジェンダー問題を考えるきっかけになればと漁する女子ジャパンを始めました。メンバーは小学5年生から83歳の女性と幅広く、体験や座学を行っています」と話しました。講演後には、人文学部の関いずみ教授や静岡県水産・海洋局の松浦玲子氏、県内の女性漁業者らをパネリストに迎えたパネルディスカッションも行われ、それぞれの立場から講演内容に対する意見が述べられました。