東海大学では8月9日に神奈川県・横浜市歴史博物館で、「笛吹きボトル制作ワークショップ―古代アンデスの音をさわる―」を初開催しました。3月から6月にかけて同博物館で開かれた企画展「君も今日から考古学者!横浜発掘物語2024」の一環で本学資格教育センターの学芸員課程の学生がイベントに関与したことがきっかけとなり、同博物館との共催として開いたものです。国立民族学博物館の教授を務める広瀬浩二郎氏と岡山県立大学教授の真世土マウ氏を講師に招き、本学からは資格教育センターの篠原聰准教授と文学部の吉田晃章教授、松前記念館で「博物館実習2」を履修する学生たちが運営に携わり、地域の小学生やその保護者ら約20名が来場しました。
午前と午後の2回にわたって同様のプログラムを実施したワークショップでは、はじめに吉田教授がアンデス文明の歴史や文化、笛吹きボトルの仕組みを紹介。「文字を持たなかったアンデス文明では、話し言葉を中心にコミュニケーションを取っており、聴覚を重視した文明だと言われています。水を入れて音を鳴らすアンデスの笛吹きボトルは、今から約2000年以上前から作られていたことがわかっており、儀礼や宴会などで使われていた説があります」と話しました。続く広瀬氏による講義では、アイマスクを着用した参加者たちに学生が民族資料を手渡し、参加者たちは素材や特徴的な手触り感などから、資料を目で見るだけでなく触ることの面白さを体験的に学びました。その後、参加者たちは真世土氏らによるサポートのもと、オリジナル笛吹きボトルの制作を開始。ボトルに設置する笛玉を選び、猫や蝶、土偶など、さまざまなモチーフでボトルを装飾しました。
参加者からは、「これまで触感だけを頼りに物に触ることがなかったため、日ごろどれだけ視覚を頼りにしていることがわかり、非常にいい体験ができました」「粘土は硬かったけど思うようにボトルを装飾できました。焼き上がりが楽しみです」といった感想が寄せられました。企画を統括した篠原准教授は、「笛吹きボトルに関するワークショップは、これまで支援学校や盲学校で展開してきました。博物館の一般的な来館者を対象としたワークショップは初めてでしたが、笛吹きボトルの魅力を伝えることができたと思います。今後も博物館との連携を深め、さまざまな企画に取り組んでいきたい」と話していました。
なお、本ワークショップは一部、科研の【課題番号24H02199】学術変革領域研究(A) 「認知科学と人類史学との協働による創造的人工物生成過程の解明」(アートと感情班)〔研究分担者:吉田晃章〕の補助金で実施されました。