三井記念美術館で「五感を研ぎ澄ます 鑑賞体験ワークショップ」を開催しました

東海大学では8月10日に東京都・三井記念美術館で、「こども・ファミリープログラム 五感を研ぎ澄ます 鑑賞体験ワークショップ」を開催しました。このプログラムは、同美術館で開催されている展覧会「五感であじわう日本の美術」の関連イベント(こども・ファミリープログラム)として資格教育センターの篠原聰准教授が、三井記念美術館と共同で企画し講師を務めました。プログラムでは篠原准教授のほか、松前記念館の田中実紀さん(大学院文学研究科博士課程2年次生)、国立民族学博物館の広瀬浩二郎教授が特別講師を務め、松前記念館で「博物館実習2」を履修する学生4名が運営のサポートを行い、小中学生とその保護者約20名が参加しました。

午前と午後の2回にわたって同内容のプログラムを実施。プログラムでは、篠原准教授と広瀬氏の指導のもと、参加者はアイマスクを着用して、民族楽器「バティッカ」やブロンズ製の彫刻、ヒシの実など、視覚を使わずさまざまな資料に触れて感覚を研ぎ澄まし、感じたことを言葉にしました。次に五感を使って作品鑑賞を行う準備運動として、参加者全員で能面を鑑賞。「般若」のレプリカを暗闇のなかLEDライトで照らし、変化する表情を観察しながら、各自が感じたことや気づいたことなど意見交換を行いました。その後、展覧会を鑑賞し、気になった作品を選んで五感で感じたことをワークシートにまとめ、最後に参加者全員で感想を共有しました。参加者からは、「視覚以外の感覚を使うことで世界の見え方・感じ方が違ってくると思いました」「五感を使った新しい見方で、作品を普段よりもじっくり鑑賞できました」といった感想が寄せられました。

特別講師の田中さんは「五感という新たな切り口による鑑賞体験を通じて、視覚以外の感覚を意識して美術鑑賞をする経験がなかったことに改めて気づかされました。参加者への声がけのなかで、たくさんのモノの見方、考え方も発見しました」と語り、ワークショップをサポートした米山菜々子さん(文学部3年次生)は、「私自身も日ごろは視覚に頼って美術作品を鑑賞していることに気づきました。目を隠して触感に集中し触っている物を想像することで、参加者の皆さんの好奇心や想像力が刺激されたのではないでしょうか」とコメントし、早川奈那さん(文化社会学部4年次生)は、「私の考えにはない新たな作品の見方をしている子どもがいて、新たな発見につながることが多くありました」と語りました。また、山崎碧さん(文学部4年次生)は、「こちらからすぐに答えを教えるのではなく“これはどんな色だと思う?”“なぜそう思ったのかな?”と声を掛けたことで、参加された方々の理解や興味が深まり、より記憶に残る体験になると学べました」と話し、小嶋康介さん(教養学部4年次生)は、「参加者とのコミュニケーションを通じて、美術館の教育普及活動の魅力ややりがいを感じました」と語りました。

同美術館の教育普及担当の亀井愛氏は、「日本の古美術は専門的な知識が必要、難しいというイメージがあるようです。また、美術館の展示作品は作品保護のため基本的に触れることができません。しかし、今回のように五感を研ぎ済ませて作品を鑑賞し、作品の声に耳を傾けてみることで、新しい発見や驚きがあったのではないでしょうか。今回のプログラムが日本美術に親しんでいただくきっかけとなれば幸いです」と話しました。