大学院海洋学研究科の矢野さんが土木学会中部支部研究発表会の優秀講演者賞に選出されました

大学院海洋学研究科海洋学専攻1年次生の矢野ほのかさん(指導教員=海洋学部海洋理工学科海洋理工学専攻・仁木将人教授)がこのほど、土木学会中部支部研究発表会の優秀講演者賞に選出されました。矢野さんは、海洋学部環境社会学科に在籍していた3月4日に開催された同発表会で「溶融スラグを干潟造成の基盤材として使用した場合の間隙水中での T-N と T-P の挙動」について発表し、その内容が高く評価されました。

仁木教授の研究室では、2019年度から静岡市の清掃工場で家庭ゴミを焼却した際に残る砂状の「溶融スラグ」を使った干潟の再生について研究しています。全国で干潟の減少が危惧されているものの、天然の砂には限りがあるため、リサイクル材料を用いた干潟再生法が注目を集めています。近年では、鉄工所で製鉄時に排出される「鉄鋼スラグ」などが用いられることが増えている一方で、鉄鋼スラグを使用した際には海水の水素イオン濃度(pH)が上昇するとの報告もあり、環境悪化につながる可能性が課題になっています。そこで仁木教授の研究室では溶融スラグに着目。矢野さんは卒業研究として、水槽内で溶融スラグを使った干潟を再現してpHの値を測定。溶融スラグは鉄鋼スラグと比べ、pHが上昇しにくいとの結果を発表しました。

矢野さんは、「人前に立つのが苦手で、発表当日はとても緊張していたので受賞を聞いたときは驚きました。今後は実際に海域で溶融スラグを使った干潟再生にも挑戦し、さらに社会貢献につながる研究成果を残したい」と抱負を語ります。仁木教授は、「溶融スラグは稲の肥料としても使用されており、環境にも優しいという裏づけがあったことから、海域での利用法を検討し始めました。矢野さんは、発表内容だけでなく質疑応答でも真摯に受け答えができていました。研究室に配属後から積極的に研究に参加し、同級生を引っ張る存在でもあります。今後は後輩への指導を通して、さらにリーダーシップを発揮してくれることを期待しています」と話しています。