大学院芸術学研究科の学生が制作した作品をインフォメーションセンターで展示しています

湘南校舎4号館のインフォメーションセンターにこのほど、大学院芸術学研究科造型芸術専攻2年次生の狩野涼風さんと永瀬紗也さんが制作した作品を展示しました。本センターはオープンキャンパスなどで湘南校舎を訪れた高校生や保護者らの窓口として開設しており、本学学生の日ごろの活動をより身近に感じてもらおうと建築模型やソーラーカーなどさまざまな学生たちの力作を展示しています。

狩野さんの作品《clear blue(青の透明)》

2名は約3カ月かけて、本学とつながりの深い「北欧」と「東海ブルー」をイメージした作品を制作。6月9日に湘南校舎4号館で山田清志学長を訪問し、作品に込めた思いや制作過程の苦労を語りました。狩野さんの作品《clear blue(青の透明)》は、アンデルセンの童話『人魚姫』から着想を得た横5.2m、縦1.62mの油絵です。「地上という未知の世界に飛び込んだ人魚姫の姿が、大学に入って新しい学問領域に取り組む学生の姿を想起させました」と話します。永瀬さんの制作した《Yggdrasill》は、北欧神話に登場する「ユグドラシル」の樹がモチーフ。「古代では世界を支えているのは一本の巨大な樹であるとされ、ユグドラシルには北欧の人々の自然を大切にする精神が宿っています」と説明。素焼き前にあえて作品を割り、破損部分を漆でつなぎ合わせて金属粉で装飾する金継ぎの技法を採用し、「北欧のユグドラシルと日本の金継ぎをかけ合わせることで、デンマークと東海大学のつながりを意識しながら制作しました」と語りました。

永瀬さんの作品《Yggdrasill》

作品を見た山田学長から「ブルーの下にグリーンを施しているのですか?」と聞かれた狩野さんは、「藤田嗣治の技法を用いることで色を重ねても濁らず、マットな質感を表現しました。これまでの人生で積み上げてきた色の上に、大学生活の中で経験を重ね、深みを増していくイメージを表現しようと透明な色を複雑に重ねて深みを出しました」と説明。「作品の割り方にもこだわりが?」とたずねられた永瀬さんは、「4枚制作して、一番よい出来だったものを展示しました。1枚目は力を入れすぎて粉々に割れてしまって……」と苦労話も披露。2名は、「空間における美術作品のあり方を研究テーマに含んでいるので、インフォメーションセンターの改修工事の現場にも入らせてもらい、作品のイメージを膨らませました。自分の作品が飾られるのは平塚市美術館での展示以来なので、とても貴重な経験になりました」と話していました。