東海大学医学部付属病院では3月15日に伊勢原キャンパス1号館で、世界腎臓デー記念公開講座「腎臓の病気を知ろう~早く見つけて、しっかり自己管理~」 (後援:秦野伊勢原医師会、伊勢原市、日本慢性腎臓病対策協議会)を開催しました。世界腎臓デーは腎臓病の早期発見と治療の重要性を啓発する国際的な取り 組みで、毎年3月の第2木曜日と定められており、世界100カ国以上で多様なキャンペーンが開かれています。地域医療の中核を担う本病院では、その主旨を 受けて市民セミナーを企画。平成25年度文部科学省「地(知)の拠点整備事業」に採択されて本学が取り組んでいるTo-Collabo(※)活動の一環と して、公開講座を開催したものです。当日は地域住民や本病院の患者、医療従事者など約130名が参加しました。
成人の約8人に1人の患者がいるといわれており、新たな国民病とも呼ばれる慢性腎臓病は、心臓病や脳卒中などにもつながる危険性因子となることが明らかに なっています。今回の公開講座では本病院のさまざまな職種の専門家が登壇し、参加者たちは腎臓病について総合的に学びました。
公開講座では前半を理論編、後半を実践編として7テーマで展開。前半では腎内分泌代謝内科の3人の医師が、「腎臓の働きと慢性腎臓病」「腎臓が悪くなる生 活習慣病~糖尿病と高血圧~」「腎臓の機能が悪くなったときの治療」と題してそれぞれ講演しました。医師たちは”沈黙の臓器”と言われる腎臓の病気は初期 段階では自覚症状が現れにくいため、健康診断で早く見つけてきちんと治療することを奨励。また、腎臓は糖尿病や高血圧などによっても悪化することから、食 習慣などの生活全般から見直す必要性を説き、病気の予防や治療法について話しました。後半では臨床検査技師や管理栄養士、薬剤師、看護師が登壇し、腎臓病 の見つけ方や腎臓にやさしい食事管理、薬の服用法など腎臓を守るための注意点を指導しました。
終了後の質疑応答では、参加者から「近年の治療法に進歩は見受けられるのか」「血清クレアチニン値と年齢、性別から計算されたeGFRは信頼出来るのか」 など専門的な内容から、「塩分を取り過ぎたときの対処法は?」「薬を飲み忘れたら?」「運動の適量は?」といった具体的な質問まで多岐にわたって寄せら れ、活発な意見交換が交わされました。
■To-Collaboプログラムについて 東海大学の取り組み「To-Collaboプログラムによる全国連動型地域連携の提案」は、全国にキャンパスを有する本学ならではの「全国連動型地域連携 活動」を柱として、地域特有の問題や共通課題を各キャンパスの学部・学生・研究者が共有ならびに協力してその解決策を見いだすものです。To- Collaboとは、Tokai Community linking Laboratoryの略称であり、北海道から九州まで日本全国に広がる総合大学の高等教育拠点である東海大学をいかした地域連携の教育と研究、研究所(Community linking Laboratory)を示す名称です。