3月27日から30日まで湘南キャンパスで、日本物理学会第69回年次大会が開催されました。これは、物理学の進歩普及を図るとともに学術の発展に寄与す ることを目的として同学会が実施するもので、招待講演や企画講演のほか若手奨励賞受賞記念講演やシンポジウムなどが行われ、6000名あまりが参加しまし た。今回は理学部物理学科の山口滋教授が実行委員長を務め、理学部を中心に本学の教職員が実行委員として運営に携わりました。
3月30日には同学会と本学の共催で市民科学講演会を開催。東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構の村山斉機構長と株式会社日立製作所の川村隆会長が、「基 礎研究と科学技術-共に究極の謎に迫る-」をテーマに研究者と企業それぞれの立場から講演し、学会参加者のほか本学の学生や教職員、一般参加者など約 400名が聴講しました。村山機構長は、「宇宙に終わりはあるか」と題して、宇宙の成り立ちにかかわっている暗黒物質や暗黒エネルギーの解明を目指す研究 を身近な事象に例えて解説。「科学の力で宇宙の歴史や構造が明らかにされつつありますが、まだわからない部分は多い。それらを明らかにするためには最新テ クノロジーの研究開発が必要です」と結びました。続いて川村会長が「源は研究開発」をテーマに講演し、同社が手がけた電子顕微鏡や粒子線によるがんの治療 装置などを例に挙げて基礎研究と密接につながった最先端技術を紹介。同社の若手研究者の活躍に触れ、「画期的な技術を作り出すためには、常に千年先を見越 した基礎研究の充実が欠かせません。研究者の自由闊達さが有形無形の価値を生み出すと考えています」と研究開発の重要性を強調しました。
なお、大会では本学理学部物理学科の学生と大学院理学研究科の大学院生など48名が、スタッフとして総合受付窓口での来場者の受付や会場案内、資料の販売 などを担いました。受付を担当した学生は「主催者側で学会に参加するのは初めてで緊張しましたが、歓迎の気持ちを持って笑顔で丁寧に対応することを心がけ ました」「学会の手伝いができるのは貴重な機会だと考えて参加しました。大会の円滑な運営にはスタッフ同士の連携や協力が不可欠だとあらためて感じていま す。この経験を社会に出てからも生かしていきたいと思います」などと話していました。