課程資格教育センターでは12月21日に湘南キャンパスで、公開連続講座「メディアとミュージアム 第2回」を実施しました。この講座は、本センターが彫 刻の森美術館(神奈川県箱根町)と連携して行っているインターンシッププログラム「キュレーターの”たまご”プロジェクト」の一環として、3回シリーズで 実施しているものです。今回は読売新聞事業局文化事業部で、美術、音楽、教育などさまざまなイベントの企画運営を担当している津屋式子氏が「展覧会を創 る・伝える・育む~新聞社事業局文化事業部の現場から~」をテーマに講演し、学生や大学院生、教職員など約100名が聴講しました。
津屋氏は展覧会プロデューサーとして、「ベルギー王立美術館展」「スリランカ文化遺産展」「妙心寺展」「モネ展」など、数多くの企画展に携わってきまし た。この日は、2013年に東京の国立新美術館で開催された、ドイツの現代写真家「アンドレアス・グルスキー展」を例に、企画から開催までの流れをスライ ドを使って解説。予算の立て方や広報宣伝戦略、作品の運搬や展示方法、図録の作成、関連グッズの企画販売などについて説明し、展覧会を支える人々や、高価 で貴重な作品を扱う緊張した現場の様子などをも紹介しました。
「プロデューサーの重要な仕事は、予算、スケジュールの管理と危機管理。もちろん、質の高い企画を実現するためには美術史の知識だけでなく、芸術に関する 世界の潮流や国内事情を常に把握しておく必要があります」と自らの役割を説明する津屋氏。「私は新聞社のチームの一員ではありますが、いつもプロフェッ ショナルなのだという気概を持ち、世界水準の仕事をしようと思っています」と語り、「100点を取るのは当たり前。それで満足せずに101点を取ることを 目指して仕事に臨んでください」と学生にエールを送りました。
参加した学生は「今は作品を創ることを学んでいますが、それを展示、発表するためにはさまざまな人々の協力があるのだとわかりました。これからは企画する 人の視点から展覧会を見てみようと思います」「学芸員を目指していますが、一つの企画を実現するまでの流れやポイントがよくわかりました。いろいろなこと に興味を持って、時代の流れや社会のニーズに合ったイベントを提案できるようになりたいと思います」などと感想を語っていました。