大東俊博講師が「電子情報通信学会論文賞」を受賞しました

情報通信学部通信ネットワーク工学科の大東俊博講師と、ソニー株式会社、神戸大学による研究グループが、このほど電子情報通信学会の論文賞を受賞し、6月4日に機械振興会館(東京都港区)で表彰式が行われました。

同学会は、電子情報通信と関連分野の研究や学術の発展、産業の興隆、人材育成などを目的とする国際学会で、3万名以上の会員が所属する日本有数の工学系学会です。論文賞は、同学会誌に掲載された1年間の論文から、優秀と認められた数件が受賞するもの。大東講師は、同学会「基礎・境界ソサイエティ」が出版する論文誌(英文論文誌、和文論文誌)に掲載された460件もの論文の中から、特に優れているとされた3件のうちの一つに選出されました。

受賞した論文は「Comprehensive Analysis of Initial Keystream Biases of RC4(RC4の初期キーストリームの偏りの包括的な分析)」で、インターネットや無線LANを安全に利用するために使われる暗号技術の中で、論文発表当時、最も大きなシェアを占めていたRC4暗号の詳細な安全性を解析。ある現実的な条件において、暗号化する前の情報の一部が悪意のある第三者に知られてしまうことを世界で初めて理論的・実験的に示したものです。

暗号技術の安全性は、効果的な暗号解読法が存在するかどうかという議論を公の場で繰り返し行うことで評価されることから、大東講師らの分析は、安全にネットワークを利用するための重要な成果とみなされました。この研究成果は、日本政府が行政の合理化や国民の利便性向上を目的に業務のオンライン化に取り組んでいる「電子政府」の運用に必要な暗証システムの選定機関であるCRYPTRECにも報告され、電子政府推奨暗号リストからRC4をはずす際の判断材料にも利用されるなど、社会への貢献度も大きいものです。

大東講師は、「RC4暗号の安全性についての研究は世界的にも重要な研究。我々の研究グループはRC4暗号の構造について10年以上研究を続けており、世界の著名な研究者たちが成し遂げられなかったことを長年の研究の積み重ねにより達成できたことを誇りに思います。この研究成果が権威のある学会から優秀な論文と認められたことは大変名誉なことと感じています。今後も積極的な研究活動に邁進するとともに、これらの経験を生かし、優秀な学生の育成にも力をいれていきたいと思います」と話しています。

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