東海大学看護研究会「第5回学術集会」を、7月5日に伊勢原キャンパスで開催しました。本研究会は、東海大学に所属する2つの看護教育機関(健康科学部看護学科、医療技術短期大学)と、卒業生の多くが勤務する医学部付属4病院(医学部付属病院、付属東京病院、付属大磯病院、付属八王子病院)の看護職者が、連携の促進と学園全体の看護の質向上を図るため、2011年に設立したものです。5回目となる今年は「TOKAI 看護の探究 ~温故知新~」をテーマに、研究発表や基調講演、シンポジウムなどを実施。山田清志学長、健康科学部長の沓澤智子教授、医療技術短期大学の灰田宗孝学長ほか多数を来賓に迎え、約380名の看護職者が参加しました。
はじめに、今回の大会長を務めた付属八王子病院の伊藤由美子看護部長が、「社会の変化に伴い、医療構造や看護の現場も大きく変わりつつあります。この機会に看護の本質を再確認しましょう」と開会を宣言。来賓を代表して登壇した山田学長は、「学生の指導や臨床などで忙しい中、こうした研究会を開催していることに敬意を表します。ぜひ、実りある会にしてください」とあいさつしました。看護研究発表では、11テーマについて研究成果を報告。本学科からは、佐藤幹代講師が「『慢性の痛みの語り』データベース構築の試み―患者会参加経験のある慢性の痛みをもつ人の語り―」と題して口演発表したほか、池内眞弓講師らの研究「化粧療法の有効性に関する研究―fNIRSを用いた前頭葉賦活化の評価―」の成果を、講堂前ホールで示説発表しました。
昼食をはさんで、健和会臨床看護学研究所の所長で日本赤十字看護大学の川嶋みどり客員教授が、「今だから、看護の原点」をテーマに基調講演を行いました。川嶋教授は、医療の効率化により看護の本来の役割である“患者に安楽を与える身体的ケア”が後退していることを指摘。「患者が人間らしく、また、その人らしい人生を過ごすためにも、手を当てて行う基本的なケアの大切さを見直す必要があります」と語り、会場は大きな拍手に包まれました。
続いて、伊藤大会長を座長にシンポジウムを実施。本学部の溝口満子前学部長をはじめ、シンポジスト6名が登壇し、本学科や医療短大、付属4病院が開設以来守り続けてきた看護の理念や、看護教育の変遷、今後求められる看護職のあり方などについてディスカッションしました。最後に、来年度の事務局を担当する付属東京病院の藤井幸子看護部長が、「皆さまのご協力をいただきながら、今後の学術集会も盛り上げていきたいと思います」と結びました。