谷俊子助教が『ワーク・ライフ・バランスとケアの倫理』を出版しました

東海大学ワーク・ライフ・バランス推進室の谷俊子助教が、このほど『ワーク・ライフ・バランスとケアの倫理-イクボスの研究』(静岡新聞社)を出版しました。この本は、企業内における子育て中の部下に対する上司の支援状況についてインタビュー調査し、倫理的規範の一つである「ケアの倫理」に照らして考察した研究書です。経営倫理学を研究している谷助教が、2014年に博士号(公益学)を取得した際の論文に加筆・修正して出版されました。

近年、企業の従業員に対する子育て支援制度はほぼ整いつつあり、昨今では「配慮」や「気遣い」といった心理的サポートに注目が集まっています。「イクボス」(子育て中の部下を適切に支援・育成する上司)という言葉も認知されるようになってきました。本書では、子育て中の従業員への具体的な支援方法を表やモデルにして分析し、「心の配慮」など言葉や形に表しにくい支援についてもわかりやすく紹介しているほか、キャリアアップ、査定、昇進などについてのインタビュー結果も掲載しています。人事担当者や管理職、子育てと仕事の両立を図ろうとする人々にとって、理想的なワーク・ライフ・バランスのあり方を考えるヒントになるほか、働く女性や倫理学、人的資源管理、ジェンダーの研究者が読んでも参考になる内容です。また表紙の絵は、谷助教の知人でもある絵本作家・ひだかきょうこ氏が手がけ、親しみやすく手に取りやすい装丁となっています。

谷助教は、「経営学は“どうすれば利益が上がるか”に重点を置いた学問ですが、“働く人々の喜びや生きがいを大切にするために何をすべきか”という倫理学の視点から研究を進めてきました」と振り返り、「電気メーカーで人事関係の職務を担当した経験を生かし、常に企業で働く人々の姿をイメージしながらワーク・ライフ・バランスについて研究することも自分の使命。今後も、“ケアの倫理”など企業に所属する人とは別な視点から、子育て中の従業員支援に関する考察を続けていきたいと考えています」と話しています。

湘南hp報「谷俊子助教・本出版」01.jpg