代々木キャンパスで12月20日、To-Collaboシンポジウム「広域連携によるインバウンド観光の推進と地域の活性化」を開催しました。To-Collaboプログラム大学推進地域観光プロジェクト「広域連携による観光・地域活性化の推進」(研究代表:松本亮三観光学部長)の一環として、湘南・代々木キャンパスの観光学部観光学科、熊本キャンパスの経営学部観光ビジネス学科、札幌キャンパスの国際文化学部地域創造学科が各地の取り組みを紹介し、学生や教職員、地域住民ら約100名が参加しました。
当日はまず松本学部長が、「外国から日本に観光客を呼び込む『インバウンド観光』は大変盛んになっている一方で、地方都市では人口減少が進んでいます。地方の活性化につなげるためには、外国からその地に観光客を呼び込む方法だけでなく、国内の観光についてもあらためて考える必要があります」と趣旨を説明。元観光庁長官で公益財団法人大阪観光局理事長・局長の溝畑宏氏と、内閣審議官で日本経済再生総合事務局次長の岡本直之氏が基調講演を行いました。
溝畑氏は、「観光立国と地方創生で日本を元気に」と題し、プロサッカーチーム「大分トリニータ」の立ち上げに携わった経験から、「地方のチームがJリーグカップ優勝を果たしたことは、地域振興のきっかけになったと考えています。大切なのは地域の特色を生かすことと、夢と志、競争力、チャレンジ精神を持つタフな人材の育成です」と語りました。岡本氏は、「日本経済の再生と地域の観光振興」と題し、「訪日観光客増加の流れを一過性に終わらせず、今後も全国津々浦々に観光客を呼び込むことが肝要です。そのために国としては商店街の免税店化を進めるとともに、“稼ぐ力”を高めるサポートをしていく方針です」と述べました。
続いての活動報告では、国際文化学部地域創造学科の植田俊助教が、「札幌地域における多面的な地域連携とインバウンド観光」をテーマに、札幌キャンパスに隣接する付属第四高校と連携した取り組みについて、「高校生とともに地域の商店街で使用するグローバルアイコンや、それを用いたマップの作成にあたるなど、ホスピタリティの向上にも取り組んでいます」と話しました。経営学部観光ビジネス学科の宮内順教授は、「南阿蘇におけるDMO設立の可能性とインバウンド観光」と題し、「九州の各県がそれぞれ自分のよいところを主張するのでは、明確なイメージが定まりません。今後は、地域全体の観光マネジメントを担う『Destination Management Organization』(DMO)の考え方を取り入れ、広域に連携して集客を推進する必要があります」と提言。観光学部観光学科の屋代雅充教授は、「丹沢湘南地域における広域連携によるインバウンド観光の推進」について報告し、10月に学生有志が開催した外国人向けのモニターバスツアーで収集したアンケートの結果を基に、「参加者の日本の伝統に対する意識は高く、文化を体験できるイベントが特に好評でした。実際のツアー催行にあたっても、多くの場合この傾向があてはまるといえるでしょう」と述べました。
その後に行ったパネルディスカッションでは、「インバウンド観光:地域での展開」をテーマに、コーディネーターの岩橋伸行教授(観光学部)による進行のもと、パネリストとして植田助教、宮内教授、屋代教授、野田芳恵さん(観光学部観光学科3年次生)、コメンテーターとして湯田中温泉「一茶のこみち 美湯の宿」の斉須正男社長が登壇。岩橋教授・屋代教授の指導のもとで10月のモニターバスツアーを開催した野田さんや、温泉に入るニホンザル“スノーモンキー”を世界各地に宣伝してインバウンド観光を推進した斉須社長に意見を伺いつつ、地域振興に向けた方策について来場者を交えて話し合いました。