第53回公開セミナーLet’s不思議!を開催しました

九州キャンパス(熊本、阿蘇両キャンパス)が熊本日日新聞社と主催している「第53回公開セミナーLet’s不思議!」を3月12日、熊本キャンパス本館の視聴覚教室で開催しました。Let’s不思議では学内の教員や学外の専門家を講師に招き、セミナーを通じて科学技術、政治経済、スポーツ、環境といった多様なテーマについて、最新の情報を共有することなどを目的としています。今回は東海大学の地域連携の取り組みである「To-Collaboプログラム」の一環として開催しました。

学生や地域住民ら約180名が来場した今回は、共催としてイベントに携わった「くまもと医工連携推進ネットワーク」の呼びかけで、医療・福祉関連機器の開発推進を目標に活動する同ネットワークへ加盟する熊本県内の医療メーカーやものづくり企業5社が、それぞれの取り組みを紹介するブースを出展。基盤工学部医療福祉工学科も出展し、本学科の学生2名が人工喉頭や人工呼吸器の仕組み、日ごろの研究を来場者に説明しました。「高齢化社会を支える医学と工学の連携」をテーマに行われたセミナーではまず、中嶋卓雄九州キャンパス長が「本学の知を地域に発信していくということを目標に開始したこのセミナーは、20年以上にわたって継続しています。今回は、高齢化社会が進む現代において、医療と工学の連携について理解を深め、将来を考えようとテーマを設定しました。ぜひ、有意義な時間を過ごしていただきたい」と挨拶しました。

続いて、東京大学と北海道大学の名誉教授である伊福部達氏が、「感覚脳のナゾ解きから生まれたモノ~ゴジラも驚く福祉技術~」と題して講演し、伊福部氏の叔父で作曲家の伊福部昭氏が手がけたゴジラのテーマ曲を分析した結果や、そのテーマ曲に着想を得て緊急地震速報のチャイムを制作したエピソードを披露。医療機器の開発について、「これまでの研究を生かし、失語症といった病を抱えた方の会話をサポートしようと、喉に押し当てて使うタイプの人工喉頭を改良しました。従来製品は一本調子で、ロボットのような声の印象でしたが、そこに強弱、イントネーションを加えると、とたんに表現力が豊かになったのです。人の声やそれをどのように脳が認識しているかなど、音についてはわかっていない部分が多い。こうした発見からその謎を解明し、ものづくりにつなげることが重要です」と語りました。

その後、基盤工学部の岩橋正國学部長をコーディネーターとして、「高齢化社会を支える医学と工学の連携~医療機器と福祉機器の現状と将来~」をテーマにパネルディスカッションを実施。伊福部氏と熊本県臨床工学技士会会長で熊本機能病院医療機器安全管理室室長の山田佳央氏、熊本県介護福祉会副会長で老人ホーム「陽かりの郷」施設長の今村文典氏が登壇し、医療現場における医療・福祉機器の発展や、老人ホームの人手不足といった課題について議論しました。その中で、岩橋学部長はTo-Collaboプログラムの地域志向教育研究経費採択課題「熊本における医工連携事業の推進・拡大と地場産業の活性化」として、昨年の9月と11月に開いた「医工連携推進セミナー」などの催しや、深層学習「ディープラーニング」による映像認識で悪性腫瘍を選別する研究の現状について報告しました。

来場者からは、「高齢者がさらに増えていく中で、将来お世話になるかもしれない医療・福祉機器の進歩の話は非常に興味深く、最初から最後まで面白くうかがわせていただきました。また、教室前に設置されていたブースでは、医療福祉工学科がどんなことを勉強しているか知ることができました。セミナーで得た知識を周りの家族や友人にも伝えたい」といった声が聞かれました。

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