To-Collaboシンポジウム「ユニバーシティとユナイテッドシティ」を開催しました

東海大学では10月19日に湘南キャンパス松前記念館講堂で、To-Collaboシンポジウム「ユニバーシティとユナイテッドシティ―湘南地域における東海大学と複数自治体との連携の可能性」を開催しました。本学では文部科学省の平成25年「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」に採択を受け、大学の知的資源を生かして全国に広がるキャンパスの所在地域とさまざまな連携事業を展開しています。本シンポジウムは、採択期間5年の最終年度となる次年度以降を見据え、連携自治体との関係をさらに強化しながら地域課題の掘り起こしと解決に向けた教育研究へと発展させることを目指したものです。湘南キャンパス周辺地域の行政関係者や市民の皆さん、本学の教職員ら約50名が出席しました。

始めに山田清志学長が、「今回のテーマであるユナイテッドシティは、”合衆市”と言えるのではないかと思います。その合衆市の連携の中心に本学があるように、今回ご登壇いただく皆さまのお話からそのたの方策を探ってまいります」とあいさつ。続いてTo-Collabo推進室の池村明生室長が、To-Collaboプログラムの概要などを紹介。「To-Collaboプログラムでは地域連携を通じた社会貢献とともに学生のシティズンシップ(市民性)を高める教育の導入を目指しており、2018年度から施行するカリキュラムでは全学的にパブリック・アチーブメント(PA)型教育を展開する計画です。COC事業の採択期間終了後もこれまで築いてきたキャンパス周辺地域との関係をさらに深めながら、社会に貢献していきたい」と述べました。

基調講演では、政策シンクタンクPHP総研研究推進部長・主席研究員の荒田英知氏が、「大学を拠点とした広域自治体連携」をテーマに、COC事業や政府が進める「地方創生」の取り組みについて解説。全国の大学によるCOC事業を通じた自治体との連携について紹介しながら、東海大学と複数自治体との連携のあり方について、「湘南キャンパスが所在する平塚市、秦野市、伊勢原キャンパスのある伊勢原市、隣接する大磯町との連携においては、それぞれが抱える課題を共有し、共通の課題に対していく包括連携が重要。大学が自治体間の触媒となり自治体間の壁を取り外せば好循環を生み、課題解決力の高度化につながる」と分析しました。

後半でのパネルディスカッションでは、はじめに観光学部の屋代雅充教授と医学部の石井直明教授がこれまで取り組んできた地域連携活動について事例を紹介。これを受けて池村室長が提言として、「大学の教育研究を充実させるとともに地域の課題解決を進め、発展を図るためには複数自治体との連携強化のための組織作りが重要。『湘南丹沢東海大学地域連携合同委員会』というような組織を発足させ、各自治体の課題を集約し、大学の地域連携活動と適切なマッチングをコントロールし、コーディネートする必要がある」と語りました。

続いて、秦野市政策部長の諸星勝氏、伊勢原市企画部長の山口清治氏が東海大学との連携実績や今後に向けた期待を述べるとともに、池村室長が示した提言について荒田氏、屋代教授、石井教授も交えて、それぞれの立場から社会情勢を踏まえて意見を交わしました。「秦野市では東海大の学生による小中学校での学習支援や観光振興などさまざまな協力関係が築かれてきました。今後は一方通行ではなく、双方がともに作り上げる連携を目指していきたい」と語った諸星氏や、「To-Collaboプログラムの活動が周辺自治体に広がることで、地方創生や地域活性化にさらなる効果がでるのではないか」と期待を寄せた山口氏の意見を受け、屋代教授は「自治体の間に大学が入ることで、議論が活性化されるということも多くあり、より有意義な活動になっていく」と分析。石井教授は、「COC事業の採択期間終了後も見据えると、マンパワーや予算面なども課題もある。大学と周囲の協力体制を構築し、ランニングコストを確保していく仕組み作りも大切」と指摘しました。これらの議論を受けた荒田氏からは、「東海大はCOCに採択された大学の中でも、独自の展開を考えられている。自治体側からも望ましいことであり、今後も活動テーマを吟味し、効果的な方策で成果につなげてもらいたい」と期待を寄せられました。

最後に梶井龍太郎副学長が閉会のあいさつに立ち、「大学は地域に対して社会的責任を果たしていかなくてはなりません。採択期間終了をもって地域連携の取り組みを終えることがないよう、来年度には学内に地域連携センターを開設する計画であり、18年度に控えたカリキュラム改定ではシティズンシップを獲得するためのPA科目も導入します。これらを通して自ら進んで地域とかかわる学生を育てたいと考えています。包括連携に向けた組織の立ち上げも通じて、地域の繁栄につなげていきたい」と今後の活動に向けた抱負を述べました。

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