第21回「21世紀保健指導者養成コース」を実施しました

伊勢原キャンパスやJICA横浜国際センター(神奈川県横浜市)などで2月12日から3月11日まで、2016年度21世紀保健指導者養成コース(グローバル保健医療政策担当者の政策立案能力強化)を実施しました。医学部では世界保健機構(WHO)と連携協力し、WHO加盟国における保健医療の中核を担うスタッフの育成を目的として、1996年に本コースを開講。2001年からはJICA(独立行政法人国際協力機構)の支援を受けて継続してきました。2016年度は、グローバル社会の安定と発展に戦略的に寄与することを目的として調査・研究などを行っている本学の平和戦略国際研究所が主体となって運営。スーダン、ジョージア、ラオス、パレスチナ、シエラレオネなど14カ国から保健医療を担当している政府高官ら14名が参加しました。

期間中は、本学医学部の渡辺良久非常勤准教授を講師に、自国の50年後の理想的な保健医療制度を想定し、その実現に向けた政策立案のためのビジョニングセッションを行ったほか、日本の保健医療制度、医療財政、感染症対策、食糧の安全保障、産業保健、学校保健など、多岐にわたる分野の内外の専門家を招いて講義やワークショップを実施。平和戦略国際研究所長の吉川直人副学長が食糧の安全保障に関する講義を行い、医学部の宮地勇人教授は付属病院の検査部門を案内し、検査部門の病院における位置づけについて講義しました。また研修旅行では、広島市の原爆ドームや平和記念資料館、赤十字原爆病院、WHO神戸センターを訪問しました。

最終日には、研修員が成果や感想を発表する評価会を実施。続いて、駐日コソボ代理大使を迎えて閉講式を実施しました。はじめに研修員全員が、期間中に討議を繰り返してまとめた宣言文に署名。本学の山田清志学長が祝辞を述べ、一人ひとりに修了証を手渡しました。最後に、研修員を代表してコソボ保健省のミラジム・ジョツァイ氏が登壇し、「充実した研修で素晴らしい時間を過ごすことができました。研修を企画・運営してくださった東海大学とJICAの皆さん、そしてともに学んだ仲間に感謝しています」とあいさつしました。式典終了後の懇親会では、研修期間を振り返りながら和やかに歓談しました。

今回の研修には、医学部3年次生の課外参加のほか、1年次生の久松亜里沙さんと塚本恵子さん、中村慶仁さんの3名が、個別体験学習として保健医療政策のビジョニングセッションに参加。久松さんは、「英語力の向上と世界の保健医療の実情を知ることを目的に参加しました。研修員の皆さんと議論する中で、プレゼンテーションスキルも身についてきたように思います」とコメント。塚本さんは、「今後の医療政策を考えるきっかけになりました。世界を視野に、医療や保健に関する学びを深めていきたい」と意欲をみせていました。また、東海大学の「ハワイ医学教育プログラム(HMEP)」を受講している中村さんは、「文化や習慣、考え方などが異なる方たちと意見を交換する貴重な機会になりました。海外で医学を学びたいという思いが強くなりました」と話していました。

運営事務局を担当した木ノ上高章准教授は、「本研修は、職種や背景、国家規模が異なる参加者に対し、保健医療政策の共通基盤となる多様な分野について教授するチャレンジングなプログラムです。今年度までに50カ国から合計238名が参加。各国で行政の中心を担う修了生も出ており、こうした人財を通じて東海大学が世界各国との結びつきをますます強固にしていくことが期待されます。また、学生にとっても貴重な学びの機会になったと感じています。『ヘルス』は諸分野に関連する重要なテーマです。この事業が本学の教育研究資産としてさらに活用されると同時に、国際貢献活動一つとして発展させていくことが望まれます」と語っていました。

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