「第1回コンテンツと法シンポジウム」を開催しました

東海大学総合社会科学研究所知的財産部門では、3月10日に高輪キャンパスで「第1回コンテンツと法シンポジウム」を開催しました。本研究所は、社会科学系研究の活性化を図り、新たな社会科学の研究拠点として設立された学術研究機関で、知的財産部門ではファッションやコンテンツにかかわる法律の研究などを通して、知的財産に関する新たな研究分野を切り開いています。今回のシンポジウムは、一般社団法人日本知財学会との共催で初めて実施したもので、さまざまなコンテンツとインターネット市場でのリスク、海賊版サイトへの対策などを有識者が語りました。

はじめに、本研究所の角田政芳所長があいさつに立ち、学園の創立者・松前重義博士が無装荷ケーブル通信方式を発明した過程などを紹介。知財の重要性について語り、「過去の研究者たちが発明したコンテンツが数多く残る中で、何を残していくのかが我々の課題です。今回のシンポジウムを新しいビジネスのモデルづくりにつなげてもらえればと思います」と述べました。第1部では、加賀電子株式会社VR/ARグループチーフの中橋篤氏が登壇し、住宅内覧や医療、工事現場など多様なVRの活用事例を紹介したほか、安全面でのガイドラインや視線追跡技術の特許など知財の視点からVRについて語りました。続いて、株式会社バンダイナムコエンターテインメントAM事業部の小山順一朗氏と田宮幸春氏が、同社で展開しているVR体験施設『VR ZONE』について、映像を交えて紹介。「1990年代から研究してきたVR技術を結集した施設。VRは今後、どういった部分に権利や価値が出てくるかわからないので、今後は法的な課題を検討していかなければいけないと考えています」と解説しました。

第2部では、株式会社小学館取締役・株式会社小学館集英社プロダクション取締役・一般社団法人日本知財学会理事で「ポケモン」や「妖怪ウォッチ」などのプロデューサーとして著名な久保雅一氏が登壇し、「コンテンツの新大陸上陸を目指す新プロデューサー論」をテーマに講演しました。久保氏は、近年ネット上で増加している海賊版サイトへの対策や、コンテンツをデジタル化する重要性を語りました。最後に、角田所長が「サイトブロッキング―導入編―」と題して講演。インターネット接続プロバイダーがユーザーの同意の無い状態で一定のサイトやデータへの接続を遮断する『サイトブロッキング』について紹介し、漫画や音楽などのコンテンツを違法アップロードするユーザーへのサイトブロッキングが検討されている政策について解説しました。角田所長は、「違法アップロードする人やそのサイト提供者に差し止めや損害賠償を求めることには限界があり、今後は、そのようなサイトへのアクセスをブロックすることによって、事件を未然に防ぐ法的な手段をつくり出していかなければいけません」と訴えかけました。

また、シンポジウムの後に開催された懇親会では、加賀電子の協力で、VRの体験コースが開催され、定員を超える参加者が最新のVRを体験しました。

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