海洋理工学科航海学専攻の合田教授が「第3回関西物流展」で講演しました

海洋学部海洋理工学科航海学専攻の合田浩之教授が6月22日から24日にかけて、インテックス大阪で開催された「第3回関西物流展」で講演しました。同展は物流業界の「生産性向上」、「環境改善」に焦点を当てた最先端の情報が集まり、課題解決やさらなる発展に向けたきっかけとなる場をつくることを目的とした活発な議論や商談が行われる場で、2019年から実施されている西日本最大の物流業界向け総合展示会です。

合田教授は24日に「コンテナ海運の動向(現状と今後の見通し)」と題して講演しました。初めに、国際コンテナ海運の概要について説明するとともに、2021年6月から運賃が急騰して従来の数倍程度の水準に至った経緯を分析した結果を報告。「コロナ禍以前の2019年は米中の政治的不安定や欧州が中国に対して警戒心を示すようになっていたことから、海運会社は同年秋の段階では20年の荷動きは減速すると予測していました。リーマンショックでコンテナ船が余って運賃が下がった過去があったことなどから、コンテナ船の整備の凍結や傭船の返船を行い、コンテナ自体も前年を下回る生産量になっていました。しかし、新型コロナウイルス感染症が世界規模で広がったことで、在宅勤務をはじめとした巣ごもりの需要が高まり、荷動きの予測に誤りがあったことが大きい」と話しました。また、コロナ禍で港湾労働者や運転手を十分確保できない状況が起き、港湾や内陸で滞貨が発生したことや滞船が激しくなったことも運賃が上昇した原因と説明しました。

続いて、コロナ禍の以前はコンテナ船の需給が下がっていたことやコンテナ船会社の世界的な統廃合が進んでいた事情を説明するとともに、今後の見通しについて、「コンテナ船の新造船発注残が増え始めている」と指摘しました。最後にこの先のコンテナ運賃について語り、「運賃の高騰局面は長続きしないと思われるが、23年のコンテナ船の大量竣工は、欧州航路や北米航路の需給バランスを崩し、他の航路に徐々に波及すると考えられます。しかし、コンテナ船会社の統廃合が進んだので、コロナ禍以前の低い運賃水準に戻るというのは考えがたい」との見方を示しました。