医学部付属病院が「認知症をめぐる生活問題」をテーマに認知症研修会を開催しました

医学部付属病院では2月12日に伊勢原キャンパスで、「2018年度認知症研修会」を開催しました。認知症への理解を深めてもらうため、本病院の認知症疾患医療センターが中心となって毎年実施しているものです。今回は、「『認知症をめぐる生活問題』について」をテーマに、医師や警察・自治体職員ら4名が講演。学生や教職員をはじめ近隣の住民や医療従事者、地方公共団体の福祉担当者ら約100名が参加しました。

本センターの瀧澤俊也センター長(医学部副学部長)の開会の挨拶に続き、横浜総合病院臨床研究センター長の長田乾氏が「認知症になっても普通に暮らすために」をテーマに基調講演。認知症の原因疾患や症状、治療法、予防法、介護で留意すべきポイントなどについて解説し、「家族の支援が認知症の方に対する最良の非薬物療法です。患者さんや家族を孤立させず、自治体や医療機関、福祉施設などが連携して街ぐるみで支えることが、認知症の方の”普通の暮らし”の実現につながります」と語りました。

一般講演では、伊勢原警察署警部補の舩橋雄介氏が、振り込め詐欺や行方不明、虐待といった高齢者に関する問題と現状、対応策を紹介。伊勢原市介護高齢課副主幹の水谷淳子氏は、「徘徊高齢者等SOSネットワーク」の利用状況や課題、今後の取り組みについて説明しました。平塚市高齢者よろず相談センター倉田会の上條亮氏は、認知症の人に接する際の「共感」の重要性について、具体的な事例を紹介しながら語りました。

講演終了後には4名の講師が登壇し、瀧澤教授と本病院の伊藤由美看護師の司会で、認知症の人や家族をサポートするための地域連携のあり方などについて意見交換。最後に、坂部貢医学部長が登壇者と来場者への謝辞を述べ、「研修での学びを家族や地域で生かしてください」と挨拶しました。

参加者からは、「”介護と世話は異なる”との説明が印象に残りました。認知症の父と同居していますが、感情的にならず、理解しながら介護するよう努めたい」「警察署や伊勢原市の取り組みがわかってよかった。さっそく市のサポートシステムを利用したいと思います」といった感想が聞かれました。

なお、当日のプログラムは以下のとおりです。
◇開会の挨拶
瀧澤俊也(医学部付属病院認知症疾患医療センター長
医学部副学部長 医学部医学科内科学系神経内科学 教授)
◇基調講演
「認知症になっても普通に暮らすために」
長田 乾氏(医療法人社団緑成会横浜総合病院 臨床研修センター長)
<司会:今関良子(医学部医学科内科学系神経内科学 講師>
◇一般講演
<司会:瀧澤俊也
伊藤由美(医学部付属病院看護部 認知症認定看護師>
1「伊勢原警察署における高齢者が関わる取扱いについて」
舩橋雄介氏(神奈川県伊勢原警察署生活安全課防犯少年係 警部補)
2「認知症高齢者の見守りのための仕組みづくりについて
~徘徊高齢者等SOSネットワーク登録状況からの考察~」
水谷淳子氏(伊勢原市介護高齢課地域包括ケア推進係 副主幹)
3「認知症の人が暮らしやすい地域・社会とは」
上條 亮氏(平塚市高齢者よろず相談センター倉田会 管理者)
◇ディスカッション
◇閉会の挨拶
坂部 貢(医学部長 医学部医学科基礎医学系生体構造機能学 教授)

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