「彫刻を触る☆体験ツアー2019」を開催しました

松前記念館(東海大学歴史と未来の博物館)では8月24日に湘南キャンパスで、高校生や地域住民、自治体職員らを対象とした「彫刻を触る☆体験ツアー2019」を開催しました。このイベントは、学内にあるブロンズの屋外彫刻に直に触れるメンテナンスの体験を通じて新たな芸術鑑賞法を知ってもらおうと、2014年度から行っているものです。本キャンパスのある秦野市や神奈川県の高校と連携して実施しており、当日は、神奈川県内の高校生や秦野市民、学芸員の資格取得を目指す本学の学生のほか、秦野市や藤沢市、小田原市の職員ら約30名が参加。ブロンズスタジオの高橋裕二氏、屋外彫刻調査保存研究会の高嶋直人氏の指導のもと、キャンパスにある北村西望作「松前重義胸像」と舟越保武作「山田守像」の2体のブロンズ彫刻のメンテナンスに取り組みました。

はじめに、本センターの篠原聰准教授がイベントの趣旨を説明。2つのグループに分かれた参加者はそれぞれの像を水洗いして汚れを落とし、ワックスを塗って磨きました。作業の合間には、「世界にさわる」展などをプロデュースした国立民族学博物館准教授の広瀬浩二郎氏の講演や、藤沢市アートスペースの小林絵美子氏(学芸員)と小田原市文化政策課担当監の諸星正美氏によるそれぞれの市の屋外彫刻の保存と活用に関する特別レクチャーも行われました。参加した高校生は、「いつもイラストなどを書いているので、デザインを平面的にしか捉えてきませんでしたが、実際に彫刻に触れることでさまざまな芸術作品を三次元的に見てみたくなりました」と語り、大学生は、「彫刻をメンテナンスして、強度の高いイメージのあったブロンズ像にも定期的なメンテナンスが必要だと学びました。日本の各地にある銅像は素通りされがちですが、今回のようなイベントを各地で開催することで、多くの人が芸術を身近に感じ、日常の生活がより豊かに感じられるようになるとも思いました」と話していました。また、秦野市の職員からは、「彫刻のメンテナンスと聞くと、少し大変なイメージもありましたが、専門家の方の指導のもと世代をこえて実践してみるととても楽しく、気分もよかった。市内の彫刻でもぜひやってみたい」との感想が聞かれました。

篠原准教授は、「日本ではバブル期を中心に数多くの屋外彫刻やパブリックアートが全国に設置されました。しかし、年月が過ぎるにつれて、メンテンスが必要になっています。大学や市町村単体ではできることが限られてきますが、互いに連携することで活動の可能性は大きく広がります。今後もさまざまな形で意見を交換しながらイベントを開催していきたい」と語っています。

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