LGBTQを巡る社会問題に関心の高い学生とアイスランド大学のバルドゥル教授らとの交流会を開きました

湘南校舎で1月20日、アイスランド大学小国研究センター研究主任のバルドゥル・トールハルソン教授とパートナーで俳優のフェリックス・ベルグルソンさんを囲む交流会を開きました。バルドゥルさんが同日行った国際学部国際学科と政治経済学部政治学科、文化社会学部北欧学科によるゲスト講義「小国/北欧の政治-今後の繁栄と防衛-」のために本校舎を訪れたことを受けたものです。昨年度に「ダイバーシティ推進宣言」を発表するなど多様な背景を持つ学生が学びやすい環境の整備を進める本学において、LGBTQを巡る社会問題に関心の高い学生との交流の機会を設けようと、北欧学科の柴山由理子講師らが企画しました。バルドゥルさんとフェリックスさんは、1999年に同性婚をしており、アイスランドにおけるLGBTQの活動「Samtökin ’78」に積極的に携わっています。当日は、柴山講師と国際学科の小貫大輔教授をはじめ、LGBTQの当事者や支援者らが自由に語り合える場を設け、学び、周囲への理解を広げることなどを目的として昨年度から活動している学生団体「東海大学ジェンダー・セクシュアリティ勉強会Voice」のメンバー、スチューデントアチーブメントセンター・ユニークプロジェクト「ユネスコユースチーム」のメンバー、国際学科と北欧学科の学生、卒業生ら約10人が出席しました。

まずバルドゥルさんとフェリックスさんが、それぞれ以前に女性のパートナーとの間に子どもがいること、ロンドン留学中に出会い同性婚に至るまでの経緯などを紹介。アイスランドにおけるLGBTQへの理解について、「ヨーロッパ各国では1970年代の後半から同性愛や自らの性自認をカミングアウトする人が多かったのですが、アイスランドではSamtökin ’78が結成されるなどLGBTQのムーブメントが起きても理解されがたい社会であり、困難も多くありました。このような状況ではありましたが、固定観念の打破に向けてメディアを通じたカミングアウトや、LGBTQの人々が高校を訪れて講演するなど、積極的な活動を通じて国民に理解が広がりました。政府もLGBTQに関する委員会を設け、差別の現状を検証し、法律が改正されることで権利を得られるようになっていったのです。LGBTQを巡る権利は一夜にしてならず30年の月日を費やしました。少しずつ、上手に進めていくことが大切です」と語りました。

続いて、参加した学生たちが、自分たちの活動の広がりや友人の悩み、青年期における教育のあり方、本学教職員の理解促進の方法などについて質問。韓国からの留学生は同国と日本、アイスランドの現状の違いなどについて指摘するなど、活発な議論が交わされました。参加した学生からは、「友人がLGBTQに関連した悩みを抱えており、参考になればと参加しました。お二人が団体を立ち上げて活動を進めてきたお話をうかがい、そのような団体が各国にあり活動していることを初めて知りました。勉強不足を実感しましたが、今後は自分にも何かアプローチできることがあるはずなので、学びを深めていければと思います」といった声が聞かれました。また、Voiceの立ち上げに携わった卒業生の坂内ひかりさん(教養学部国際学科卒)は、「アイスランドでも以前はLGBTQへの理解が少なく、差別を受けることもあったというお話が印象に残りました。ただ、30年をかけて法整備も進み、理解が広がった姿が、まだ変化の途中にある日本の未来の姿になればとも思います。今後も後輩たちと協力し、Voiceのように語り合える場を盛り上げていければ」と話していました。