海洋学部では3月4日に静岡市清水区の清水港湾労働者福祉センターと近隣の庵原川河口で、「~静岡市・東海大学連携事業~シロウオの観察会」を開催しました。本学と静岡市が包括連携協定に基づいて毎年実施しているもので、地元の豊かな自然環境への理解を深め、環境保全の意識・関心を高めることが目的です。新型コロナ禍で昨年度はオンラインでの開催となりましたが、今回は市内の小中学生と保護者合わせて40名が参加しました。
はじめに、水産学科の髙見宗広講師がシラスの生態や種類などを解説し、静岡市駿河区の用宗漁港で水揚げされたチリメンジャコの中からタコやイカ、エビ、カニなどシラス以外の生き物(チリメンモンスター)を探し出して観察。本学科の学生もサポート役として加わり、子どもたちはピンセットで「チリメン」をより分け、さまざまな生き物を探し出しました。続いて秋山信彦教授がシロウオについて講義。シロウオがハゼの仲間であり、2月下旬から3月下旬の時期にだけ、海から川に上がり産卵するという生活史を解説しました。九州から北海道南部まで広がる分布のうち、日本各地の遡上開始時期を説明。「桜より約1カ月早く北上する“シロウオ前線”は春の風物詩。日本中のさまざまな漁港で水揚げされています」と話し、大分県・番匠川や福井県・常宮など各地の漁法や料理方法などを紹介しました。さらに河川に遡上したオスとメスが、つがいで2~3週間を巣の中で過ごし産卵を迎えるといったシロウオの生態を示しながら、静岡市内での調査の様子やその結果などを紹介。「シロウオが生息しているということは、山も海も川もきれいだという証拠。静岡市は政令指定都市の中ではシロウオが遡上する数少ない市です。採取したシロウオをよく観察し、この環境を維持できるように意識してください」と語りました。
庵原川での観察では、参加者が秋山教授や学生たちとともに、たも網を使って川を遡上するシロウオを採取。ほかにもアユやボラ、ハゼの仲間であるヌマチチブ、ゴクラクハゼなどさまざまな魚を捕まえ、秋山教授の解説とともに詳しく観察しました。子どもたちは熱心に質問し、興味津々の様子で「庵原川の近くに住んでいるのに、シロウオが遡上してくることは知りませんでした。楽しく勉強できました」「川に入る機会はあまりなく、こんなにも多くの生き物がいることに驚きました」と話していました。秋山教授は、「コロナ禍もあり、川に入ってシロウオを観察できたのは6年ぶりのことになりました。子どもたちがフィールドに出て喜んでいる様子を見せてくれてうれしく感じました。このような体験を通じて環境を大切にする気持ちを培ってもらいたい」と話しています。