「彫刻を触る☆体験ツアー2021」を開催しました

教職資格センターでは7月31日に湘南キャンパスで、「彫刻を触る☆体験ツアー2021」(共催:秦野市)を開催しました。このイベントは、本センターが開講する「博物館実習2」(松前記念館実習)の実践実習の一環として、学内にあるブロンズの屋外彫刻に直に触れるメンテナンスの体験を通じて新たな芸術鑑賞法を知ってもらおうと2014年度から実施しているものです。今回は新型コロナウイルス感染防止対策のため午前と午後に分けて実施し、学芸員資格の取得を目指す学生と、「神奈川県高校生インターンシップ」に登録する県内の高校生、秦野市の市民団体「彫刻愛し隊」のメンバーら約30名が参加。屋外彫刻調査保存研究会の高嶋直人氏による指導のもと、キャンパス内に設置されている北村西望作「松前重義胸像」と舟越保武作「山田守像」の2体のメンテナンスに取り組みました。

はじめに、本センターの篠原聰准教授がイベントの趣旨を説明。参加者たちはブロンズ像の汚れや傷を事前にチェックした後、専用の洗剤を使って汚れを落とし、高嶋氏からの「ブラシで磨くときは作品を傷めないよう気をつけて」「ワックスは全体にまんべんなく塗るのではなく、光沢感にメリハリが出るよう調整してみてください」といったアドバイスを参考にメンテナンスを行いました。また、作業の合間には、国立民族学博物館准教授の広瀬浩二郎氏が、彫刻を“触る”鑑賞方法について解説。「目で見たものを触る『確認型』の触り方と、視覚情報のない状態で触る『探索型』の触り方では、作品に対する印象や、得られる情報が変わるでしょう。目に頼らず前後左右から触ることで、新しい発見があるかもしれません。ぜひ実践してみてください」と語りかけました。

参加者からは、「学芸員を目指しているので、知識だけでなく実際の作業を体験したいと思い参加しました。想像以上に体力のいる作業でしたが、メンテナンスの重要性を実感する機会になりました」「これまで銅像の状態を気にかけたことがなかったけれど、これからは自宅の周りにある銅像の状態も調べてみようと思いました」「メンテナンスの前と後では、ブロンズ像の表情が変わった気がする。汚れが落ちて作品も喜んでいるように感じました」といった感想が聞かれました。