人文学部の大久保彩子准教授の論文が「Marine Policy」に掲載されました ~日本の漁業政策には生態系配慮に大きな課題~

2023年4月8日付けで人文学部人文学科の大久保彩子准教授らの論文が、海洋政策分野の国際学術誌「Marine Policy」で公開されました。
海の豊かさを守りながら漁業資源を末永く利用するために、漁業が生態系全体に及ぼす影響を軽減していくことが求められています。

この論文では、漁業管理における生態系への配慮が、日本の主要な関連国内法および政策文書にどのように反映されてきたのかを国際条約や行動規範等の記述と比較して分析しました。
その結果、日本では漁業生産を増加させるための漁場保全を重視してきた一方で、漁獲対象ではない生物の混獲や投棄を規制する政策は講じられておらず、また、生態系保全を主目的としていない区域を海洋保護区に指定するなど、国際的に受け入れられた生態系配慮の原則や規範との間に大きな齟齬が生じていることが明らかになりました。

Okubo, A., Ishii, A. (2023). Pursuing sustainability? Ecosystem considerations in Japan’s fisheries governance. Marine Policy, 152, 105603. (https://doi.org/10.1016/j.marpol.2023.105603.) ISSN 0308-597X.