「2021年度駿河湾セミナー」を開催しました

海洋学部と大学院海洋学研究科、海洋研究所が12月3日に静岡市役所清水庁舎内の清水ふれあいホール及びオンライン同時配信にて、「2021年度駿河湾セミナー」を開催しました。本セミナーは、静岡だからこそできる海洋研究・駿河湾研究の方向性と重要性を再認識し、地域貢献を踏まえた研究のあり方について議論することが目的。そして、来年度から清水キャンパスが「静岡キャンパス」に改称し、人文学部と海洋学部の2学部体制になることから、どのように地域と連携していくのかを考える場にしようと、本学の教職員や市民ら約70名が参加しました。

セミナーは講演とパネルディスカッションの2部構成で実施。初めに人文学部長就任予定の川﨑一平教授(海洋学部副学部長)が開会のあいさつに立ち、来年度以降の新体制ついて説明した後、「人文学部では、歴史や文化の学びを軸にしながら地域産業や観光振興などの社会学的教育を行い、海洋学部も4学科・専攻体制に移行することでより専門性の高い教育・研究を展開します。『駿河湾』を拠点とした人文学部の教養教育と、海洋学部の先端教育に基づいた人材育成を両輪とし、静岡キャンパスを発展させていきたい」と話しました。

講演では、海洋学部の村山司教授(海洋生物学科)が「駿河湾、その生命の営みを科学する」と題して、駿河湾に生息する生物の多様性や飼育下のイルカ類を対象とした認知能力の検証について解説。続いて、仁木将人教授(海洋理工学科)が、ゴミ焼却過程で生成される「溶融スラグ」を再生資源を用いた干潟基盤材に使用するための水槽実験とその結果を報告しました。日下宗一郎講師(人文学科)は「先史時代の静岡に暮らした人の食生活」をテーマに、古人骨の安定同位体分析や清水の遺跡について説明。また、後藤慶一教授(水産学科)は地域活性化のための商品開発や地域ブランド創出の取り組みを紹介。大久保彩子准教授(人文学科)は「生態系保全と漁業管理-国際規範と日本の政策」と題して、生態系に配慮した持続可能な漁業について講演しました。
「駿河湾を舞台とした大学と地域の協働可能性」をテーマにしたパネルディスカッションでは、海洋研究所の平朝彦所長がコメンテーターとなり、脇田和美教授(海洋理工学科)の進行で、講演した教員が駿河湾の恵みを生かした地域連携の役割や課題について議論しました。

最後に海洋学部の齋藤寛学部長が、「セミナーでは5名の先生方に講演していただきましたが、静岡キャンパスには約90名の教員がおり、それぞれが異なった教育・研究をしています。来年度からは人文学部が加わり、ますます多様性に富んだ学びができるので、今後さらに地域連携を深めていきたい」と期待を述べました。

※文中の各所属学科は2022年度(予定)のものです。