「小規模漁業リージョナルシンポジウム・アジアパシフィック」を開催しました

海洋学部水産学科の李銀姫准教授がディレクターを務めるToo Big To Ignore(TBTI)グローバルパートナーシッププロジェクト(本部:カナダ・ニューファンドランドメモリアル大学)の日本ハブ「TBTIジャパン研究ネットワーク(TBTI Japan)」が、4月9日から12日まで「小規模漁業リージョナルシンポジウム・アジアパシフィック」を開催しました。この会議は、4年に一度開催される世界小規模漁業会議の中間会議として、2年に一度開催されるものであり、世界各国から小規模漁業に関心のある研究者、行政関係者、実務家、学生、漁業者及び漁業者団体などが集まり、研究発信と議論を行う超学際的な場となっています。今回は「Bright Spots ~Hope Spots」をテーマに開催し、日本を含むアジア諸国及び国連食糧農業機構(FAO)関係者ら約60名が参加しました。

静岡県清水区の清水テルサで開かれたオープニングセレモニーでは、初めに海洋学部の齋藤寛学部長と静岡市経済産業部水産・海洋局の山下啓道局長、李准教授があいさつ。李准教授は、「2022年に清水で開かれた世界小規模漁業会議でお会いした方と再会できるとともに、新しい方とも会えてとてもうれしく思います。充実したディスカッションができることを楽しみにしています」と話しました。期間中は、「FAO小規模漁業ガイドライン」や「ガバナンス・政策」「ジェンダー・ウェルビーイング・生計」「ジャスティス・公正性」などをメイントピックスにした12のセッションと、フィールドワークが実施され、東海大学からは李准教授と海洋学部海洋生物学科の大西修平教授、李准教授の研究室に所属する3名の大学院生が登壇しました。

李准教授は、TBTI Japanが作成した発行物や活動実績、及び新しくスタートする「小規模漁業SHIN白書」プロジェクトなどについて報告したほか、「脆弱性から可能性へ」のセッションでは、小規模漁業に関する国際研究チーム「グローバルパートナーシップV2V(Vulnerability to Viability)」での研究内容を紹介し、海や漁村の地域資源の魅力を活用する「海業(うみぎょう)」における日本の取り組みについて解説しました。大西教授は「小規模漁業における組織の協力の在り方」と題し、漁業を成功させるために必要な政策の要素を説明。「日本の漁業におけるジェンダー問題の解決策:三重県菅島の海女を事例に」のテーマで講演した村岡未夢さん(大学院海洋学研究科2年次生)は、研究背景や菅島でのフィールド調査結果を報告し、「初めての国際学会参加でとても緊張しましたが、他の参加者の方からよかったと言ってもらえて自信になりました」と手応えを口にしました。また、11日に静岡市・由比港で行ったフィールドワークでは、静岡市農林水産部水産漁港課のしずまえ振興係も参加のもと、市場の見学や魚捌き体験、タイ・カナダ・日本の漁業者によるパネルディスカッションなども実施され、4日間を通して多様なプログラムが展開されました。