3.11生活復興支援プロジェクトが、宮城県石巻市に「小指観音堂」(旧どんぐりハウス)を建設しました

東海大学チャレンジセンター・3.11生活復興支援プロジェクトが、宮城県石巻市北上町十三浜小指地区に「小指観音堂」(旧どんぐりハウス)を建設し、2月5日に完成式を行いました。この観音堂は、東日本大震災直後の2011年6月に地域住民の要請を受けて建設した応急建築物「どんぐりハウス」を移築した施設です。これまで地域集会の会場や隣接する相川運動公園内に設けられた仮設住宅の住民らの倉庫などとして活用されてきたどんぐりハウスは、老朽化などで解体が計画されていましたが、「ただ解体してしまうのはもったいない、地域でさらに活用したい」との声が上がり、昨年8月から9月にかけてプロジェクトメンバーたちが解体・再建を進めていました。移転地は震災前に木造十一面観音座像が安置されていた場所で、地区の漁港に近く集会所や漁の際の休息、準備の場として活用が期待されます。

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完成式は、小指地区と隣の相川地区における伝統的なお祭りである「春祈祷」に合わせて企画したもので、祭りに合わせて帰省する住民も多いことから、観音堂の周知をはかることを目的としました。当日は午前中からプロジェクトメンバーたちも春祈祷に参加。相川・小指両地区に分かれて地域住民や子どもたちとともに津波の被害を受け高台に移転した住宅などを訪問しました。学生たちは、住民らからふるまわれる食事やコミュニケーションを楽しみながら、笛や太鼓に合わせて舞う獅子舞にも挑戦。家々に上がり込んで無病息災や家内安全を祈願する祭りの盛り上げに一役買っていました。

春祈祷終了後に行った完成式では、現地入りした約10名のメンバーや地域住民ら多数が参加。まず小指地区行政委員の佐藤栄記さんがあいさつに立ち、「東日本大震災からまもなく6年が経過します。津波で失われた観音堂が、東海大の学生さんたちの力で再建されました。今後も地域の拠点として活用していきたい」と語りました。また、小指地区に本社があり、どんぐりハウス建設当時からプロジェクトと交流を重ねてきた有限会社ササキ設計代表取締役の佐々木文彦さんが、恒久建築物として行政による建築確認の検査を受け、適合にいたった経緯を説明。続いて、大学を代表してプロジェクトアドバイザーの堀本麻由子准教授(現代教養センター)が、「相川・小指地区を訪問した学生たちは、湘南キャンパスに帰ってきても生き生きとした表情で授業に臨んでいます。地域の皆さまに温かく迎え入れていただき、充実した活動に取り組めていることの表れだと感じています。今後も学生たちの活動にご協力をお願いいたします」と述べました。

さらに、プロジェクトアドバイザーで当日は欠席した杉本洋文教授(工学部建築学科)が寄せた「漁港再開、高台移転など復興に向けて動く中、小指観音堂が地域の皆さまの交流の場や外来者をもてなす場として活用されることを願います」とのメッセージを学生が代読しました。また、式中には学生たちが観音堂での会議などで活用してもらおうと、前日に現地で作成した木製キットを使った机も寄贈。脚部分が取り外せ、目的に応じて組み合わせを変えられるといった特徴についても説明しました。

今回の企画責任者を務めた建部存さん(工学部建築学科1年次生)は、「昨年8月から移設に向けた工事を始め、さまざまな苦労もありましたが地元住民の方たちの協力を得て完成に至りました。春祈祷は震災を機にこの地区を離れていった方も戻ってこられるので、それに合わせて完成式を開いたことで、より多くの方に存在を知っていただく機会になったと思います。湘南キャンパスから離れた東北地方での催しということで、スケジュール管理など難しいこともありましたが、いつも親切にしてくださっている地域の皆さんに喜んでいただけてうれしく感じています」と話します。また、本プロジェクトの相川・小指地区責任者を務める横山美咲さん(法学部法律学科2年次生)は、「今年度はこの地区での活動をさらに充実したものにしようと、毎月メンバーが現地を訪問し住民の皆さんとの交流を深める活動に取り組んできました。私たちの支援活動も観音堂の完成を機に、震災の記憶の風化防止や地区コミュニティーの活性化など次のステップに進む時がきていると思います。これまでの交流の成果を後輩たちにもしっかりつないでいきたい」と力を込めていました。

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